Midtown Report

ビジネスと人間に関する発見と考察 from Los Angeles & New York

カテゴリ: 金融道場

村上ファンドの代表・村上世彰氏が逮捕されたとのことで、多くの人と同じく、私もこのことを非常に残念に思っています。

私は日本で直にニュースを見たり、新聞を読んだりしているわけではないので、彼の言動が具体的にどう報道されているのかはいまいち分かりませんが、どうもマスコミが作ろうとしている空気としては、金儲け主義の悪人、と言われているようで、残念な気がしてなりません。

アメリカでは、村上さんのような「モノ言う株主」は当たり前というか、むしろそういうタイプの方が多いので、経営を任された人たちは常にプレッシャーを感じながら、株主に最大の価値を還元するために努力をします。

で、この「株主価値の最大化」ですが、これを言うと日本だとなぜか必ず誤解されます。

私も日本で、過去にある事業会社向けの研修プログラムで、EVA(事業価値の指標みたいなものです)の計算方法を講義したことがあるのですが、株主だけ儲けさせることはいかん、そんな欧米のやり方はダメだ、と言う人が出てくるのです。

しかし、MBAなどの教科書を読むと「株主価値の最大化」というのは本来、従業員、サプライヤー、顧客、債権者などのステークホルダーに対して、十分な価値を提供しているということが前提で、その上で、いかに株主に大きな価値を提供できているかが重要、という風に書いてあります。

したがって、「欧米のやり方は株主だけを儲けさせるやり方だ」と言うのは、間違いです。欧米でも、優秀な企業は、全てのステークホルダーに対してバランスよく、十分な価値を提供しているものなのです。

株主は、そういった価値がきちんと提供されているかをチェックするために、経営陣に対して全体的な指示を出したり、時には圧力をかけ、仕方のない時にはクビにしたりします。あのアップルの創業者スティーブ・ジョブスだって、クビにされた過去があります。


株主が指示することに対して「やり方が間違っている」と経営陣が言うのは、今風(?)に言うと「フツウにありえない」ことです。過去に村上さんがやってきたことがことごとく経営陣の反発を受けている様子を見ると、「この人たちは大丈夫なのかなぁ」と思ってしまいます。


この村上さんの意図については、私が密かに読んでいるお気に入りのブログ"ちょーちょーちょーいー感じ"に書かれていて、非常にわかりやすいです。保田隆明さんの文章は、とても読みやすく、私も学ばせていただきながら読みました。


あともう一つ残念なのが、やっぱり東京地検にアカウンタビリティが欠けていること。以前にもEliot Spitzerの話を書いたような気がしますが、先頭に立って、「村上ファンドはこういう点でダメだ」と主張する個人責任者の顔がなく、組織名の力で世論を動かしているように見えて、どうも納得がいきません。

個人金融をビジネスとしていて、難しいと感じるのは、商品が個人にとって圧倒的に難しく、全てを完璧に説明することができない点です。

複雑な保険商品などは、いろいろなフィーやメリットが複雑に絡み合っていて、説明しづらいし、お客様が全ての商品を理解し比較した上で購入することなどできません。

だからこそ「お客さんには複雑過ぎるから、簡潔に説明しろ」とはよく言われるのでしょうが、それをやってしまうと、「よく理解しないのに買ってしまった」ということになってしまいます。

事実、お客様がすでに持っている商品を見て、「これは、当初どういう理由で買われたのですか」と質問すると、「わからない。営業マンに良いと言われたので買った」と言う人も多く、それほど商品自体の価値には関心をもっていないことも多いのが事実です。一つの金融商品がもたらす、一人一人の家計に対するインパクトを考えると、これは由々しき事態です。無神経なアドバイスで資産を失う人は、世の中に無数にいるのです。

よく「保険は人間性で買ってもらう」とか「義理で買わせる」と言う人がいます。そう言えるくらいの営業マンになることは素晴らしいと思いますし、自分自身も、少なくともお客様に信頼されるに足る人間になりたいと思っています。

しかし、そのことと、明確な価値を提供する、ということとは別問題です。仮にも人様のお金を預かっておきながら、こちらから明確なメリットや、ベストの商品を提示しないとすれば、詐欺行為に等しいと思います。

この流れは、もちろん変わりつつあると思います。より多くの独立したアドバイザーが増え、アドバイスの価値自体にお金が払われる形が増えていけばと思います。

後は、いかにお客様に賢くなっていただけるか、どうやって啓蒙していくか、こういうことが本当に重要だなぁと感じています。

子供がここまで強大になって独立してしまうと、「親」である会計事務所も、それを横目に見て、「あんなに儲かっていいな」と思い始めます。

そこで、コンサルティング業をまかせた子供がいるにもかかわらず、親も、いつのまにか自分でコンサルティング業を始めてしまったのです。

これは、実際に1990年代後半に、かつてBIG5と呼ばれた会計事務所で起きていたことです。
ちなみに、当時BIG5と呼ばれた会計事務所は、以下の5社です。

Andersen
PricewaterhouseCoopers
Deloitte
Ernst & Young
KPMG


BIG5の子供達は、当然怒ります。

「コンサルティングは、自分の領域だ。親・子供で競合するなんて、おかしい」

それまでは、親の名前で仕事をさせてもらっていたのですが、子供達は十分大きくなったため、もう親と同居するのがバカバカしくなってきます。
そして、このBIG5のうち、最初に家を飛び出したのが、Andersenの子供、Andersen Consultingです。

Andersen Consultingは、2000年の秋に名前をAccentureと変え、家を飛び出しました。

そして、その数ヵ月後、あのエンロン事件が起き、Andersenは空前の会計詐欺事件に加担した影響で、崩壊を余儀なくされたのです。

Andersenの罪は、ひとえに会計士が顧客企業の重役と癒着していたことに尽きます。経営陣の利益=会計士の利益となっていたため、会計ルールの遵守が形骸化してしまったのです。

この件があったからといって、必ずしも「会計士のコンサルティングはダメ」と言えるわけではありません。しかし、監査する側・される側が一定の距離を置かなければ、システムが機能しない、ということは言えると思うんです。
会計士がコンサルティングを行うことは、癒着を発生させる土壌を生みかねない、という意味で危険だと言えます。



さて、Andersenの子供だったAccentureはまさに絶妙のタイミングで、炎上予定の家から脱出していました。

これを横で見ていた他のBIG4の子供達は、ゾッとしていたことでしょう。
じっとしていては、自分達も親と競合するし、親の会計事務所にも、何が起こるかわかりません。

こうして、次々と、子供は親の家から脱出していきました。

以下、紆余曲折を経て脱出した子供達(コンサルティングファーム)と、現在の名前。

Andersen -> Accenture
PricewaterhouseCoopers -> IBM Business Consulting
Deloitte -> Braxton? Abeam? (よく把握してません)
Ernst & Young -> Cap Gemini
KPMG -> Bearing Point

それぞれの会社が、完全に親のイメージを払拭しようとしていることがよくわかります。

この結果から見ても、コンサルティングと、会計監査業務は相容れないものだ、ということがある意味実証されたのではないかと思います。


何だかもっと書きたいことがあったのですが、とりあえずこの辺にしておきます。

会計事務所がなぜ、悪事に走るのか、それを考えた時に、Arthur Andersenを思い出しました。

1912年に創業したこの会計事務所は、エンロン事件を防ぐことができなかったファームとして、この先会計の教科書に汚点として残ることになるのではないかと思います。

なぜ、Arthur Andersenが崩壊するに至ったのか。
これは、彼らの一部の悪徳会計士が、会計監査という本来の役割に徹することができなかったからです。

Arthur Andersenは、元々監査を行う会計事務所でした。

監査というのは、会計上のルールにもとづいて、会社の状態が、財務諸表に反映され、株主に、(会計法上)正確な報告がされているかを確認するものです。
したがって、本来の監査業務は、顧客が利益をあげているかいないかとは関係なく成立するビジネスなのです。


しかし、一方で会計事務所というのは、顧客の数字を細かい単位で把握することができるため、客観的な立場で経営上の助言も与えることができます。

ここで、「コンサルティング」というサービスが発生します。
顧客はコンサルティング料を支払って、顧客の利益を上げる助言を求めますから、ここで顧客の利益=コンサルタントの利益という利害関係が発生します。


Arthur Andersenの転機となったのは、1950年代に、GEから会計システムの導入を依頼された時です。それ以降、システム導入を中心としたコンサルティングサービスで、それ以降急速に勢いを伸ばしました。

こうして、会計事務所から、コンサルティングファームという「子供」が生まれたわけですが、この「子供」は段々親よりも強大になっていきました。

何しろ、コンサルティング業の方が儲かります。また、顧客の成長を直接手助けするから、働く人にとってもやりがいも大きいわけです。
監査は、社会的意義が極めて強く、その必要性は説明不要ですが、いろいろな欲が旺盛な人にとっては、コンサルティングの方が魅力的なはずです。

(続く)

金融業をやっているのに、金融のことについて、あまりブログに書いていません。

まぁ、ライセンスの規定で、書いていいことと悪いことがあるので、控えてはいたのですが、以下のことは、とても一般的な内容で、許容範囲なので書いてみようと思います。


金融商品に対する姿勢、という話です。

私が頻繁に、勉強をさせていただいているブログの一つに、「週刊!木村剛」というブログがありますが、その中に、以下のようなことが書いてありました。

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たけくらべ」さんが提唱する「投資の三原則」をご紹介しておきましょう。この3原則は、私も実践している不変の原則です。

   1.ウマイ話は疑ってかかる
   2.投資先(内容)の理解できないものは避ける
   3.業者の信頼性を確信できないものも避ける

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この「たけくらべ」さんのブログは、ミッドタウン系の私としては、非常に勉強になることばかりで、その知識の深さと顧客重視の姿勢に関しては、感心させられるものがあり、尊敬してしまいます。

氏の述べる、上記の3点について、消費者が体に染み付かせることは重要だと思いますが、私は、その他に重要と思われることがあると思います。それは、

「業者が何で儲けているかを知る」

ということです。

金融商品を購入すると、何らかの形で、手数料を払うことになります。
それが、口座維持手数料なのか、販売手数料なのかは、その商品によって異なりますが、その手数料が、対価として自分が受けているメリットにふさわしいものであるかという点について、厳しく見る目を持つべきだと思うのです。


私が学生だった頃、ある日「いろんなモノが安くなる会員権の会員を募集しています」と言う勧誘の電話を受けたことがあります。

私はまだ大学生だったので時間はたくさんありました。インチキであることは大体分かっていたので、「手口を暴いてやる」という気持ちで、興味を持ったフリして、電車で一時間もかけて、先方の新宿オフィスまで乗り込んでいきました。

新宿のオフィスに行ってみると、看板もない、がらんとした場所にうるさい音楽がなり、こぎれいに机がならんでいるような場所でした。

担当者の方が出てきて、いろいろと説明をし始めました。

- ディストリビューターを解さずに、いろいろな所から直で品物を仕入れているので、物を非常に安く買うことができる。
- 手数料の類は一切ない
- ただし、会員維持費が多少かかる(この時点でかなり疑問)
- 会員維持費は毎月3万円で、将来ある時点で返還される(かなり意味不明)

説明のしかたはそれなりに上手で、話の中でお得感を演出してきます。私は、「へー、すごいシステムなんだぁ」という顔をして聞いていました。

段々話に辟易してくると、こちらから質問をしました。

「手数料がなくて、会員維持費が3万円って言われても、出て行くお金が3万円だったら、結局こちらからするとどっちでも変わらないじゃないですか」

すると、

「手数料は手数料。維持費は維持費」

などとわけのわからないことを言い続けます。
大学生はバカだと思っているのでしょうか。
しかし悲しいかな、これで騙された人が何人もいるようなのです。

こんなマヌケな例はなかなか見当たりませんが、実は金融商品でも、似たようなことはけっこう行われているものです。
ぜひ、そういった商品の裏のしくみを見分け、「どこで会社が儲けているのか」を見抜く目は持ちたいものです。

「クレジットカードはよくない」ということをよく聞きます。

「クレジットカードの負債は、早めに返すべきだ」とか、「クレジットカードの利息は不利だから、絶対に借りない方が良い」という人がいます。

その考え方自体は、なんとなく正論に聞こえますが、実際はどうなのでしょうか。

あと、「消費者金融はよくない。絶対に手を出すな」という人もいます。

現実を見てみると、確かにこういったものに手を出して、自己破産している人がたくさんいる一方、うまく利用して、逆にお金を生み出すテコとして利用している人もたくさんいるようです。この両者は、何が違うのでしょうか。


この問題に対する疑問は、バランスシートが、解決してくれます。

左に資産、右に負債と、資本が示されていて、資産=負債+資本というのが、常に一致するというものです。

会計の勉強をすると、勘定科目が何だとか、上から順番に流動性が高いだとか、いろいろと面倒な説明を受けるわけですが、バランスシートの理解のためには、そんなことは枝葉のことだと思うのです。

バランスシートを作る目的は「利益を生み出すための意思決定」これを実現することに尽きます。
何の意思決定かというと、これは大きく分けると2つあって、

「どこにお金を使うか」
「どこからお金を持ってくるか」

というものです。


「どこにお金を使うか」というのは、具体的に言うと、

今日の昼ごはんにいくら払うか、どの車・家を買うか、何の事業を買収するか、というようなことです。


「どこからお金を持ってくるか」は、クレジットカードを使うか、短期・長期のローンを組むか、投資家からもらうか、親からもらうか、といった意思決定です。


以上の意思決定は、利益を生み出すビジネスを作る上で、必要な要素だと思うのですが、"バランスシート"というものが頭の中に入っていると、この意思決定が大変やりやすくなります。

もちろん、個人的に行う投資の考え方にも応用できます。


これをうまく説明できるかどうか、チャレンジしてみたいと思います。

最近、頭から離れないのが、NY州司法長官であるEliot Spitzer氏の動向。
司法長官というのは、日本の言葉で言うと、検事総長のようなもので、犯罪を取り締まる、お代官様のような存在です。

彼は、消費者保護のために、これまで積極的に大企業の不正を追求してきたんです。
メリルリンチが、アナリスト業務と投資銀行業務を明確に切り離していなかったために、追求されて和解金を支払わされたのは、日本でも関係者の間ではそこそこのニュースになったんじゃないかと思います。

司法長官というのは、州ごとに設けられているのですが、やはりNY州は、アメリカビジネスの中心地ですし、特に巨大金融企業の本拠地が集まるWall Streetを擁しています。したがって、彼のアクションによって、企業が改善を迫られた場合、NY州だけでなく、全米規模にまで影響を及ぼすんですよね。

つい最近では保険代理業界最大手のMarshが、Bid Rigging(価格操作?)で追求を受けました。当方、保険代理業のため、本件についてはくわしく勉強中です。分かり次第、アップしたいと思います。

ところで、アメリカの組織体制については、あらゆる点で言えることですが、「人」が前面に出てくるところに、個人的には公平性を感じています。

日本だと、金融企業の不正を追求するのは、「金融庁」であったり、「東京地検特捜部」であったりするわけですよね。そうすると、実際に、具体的にどの人物がどんな意思を持って捜査を支持したり、起訴したのかがわかりません。その結果、当局に都合のいい説明しか報道されなかったり、彼らに対する批判は、黙殺されてしまうわけです。これは公平とは言いがたい。

NY州の場合には、Eliot Spitzerという個人が前面に立って「庶民から不正に利益をあげる悪徳企業は許さない」という意思を公に宣言して、説明責任を負った上で、企業追及を実施しているわけです。そうすると、市民の側からも、Spitzer氏の主張が何に立脚しているのかが分かるため、評価も批判もしやすいということがあります。そして、Spitzer氏自身の行動に一貫性がない場合、彼自身がその説明責任を果たさなければ、司法長官としての信頼を失うことになります。

実際に、彼のアクションには、賛成派、反対派が真っ二つに割れている状況ですが、そいういった2つの極の意見が出るというのは、議論を活性化する上では好ましいことだと思います。

これに対し、日本での最近の例で言うと、ライブドアが、東京地検特捜部によって捜索されました。しかし、誰が、どの具体的人物がその中心となって捜索を指示しているのか、不透明ですよね。

東京地検特捜部の行動に一貫性がなかった場合(ライブドアは捜索されたのに○○株式会社は捜索されなかった等)や、間違ったことを行ってしまった場合にも、責任を持って説明する人間がいないために、うやむやになってしまうだろうことは容易に推測できます。

いくら「東京地検特捜部」が完璧な組織のように見えても、実際には、全ての組織行動は、誰かの人間の意思決定によって行われています。そして、人間の意思決定が、全て完璧であるはずがないのです。

だから、私は、誰かが捜査の前面に立ってくれることを強く望みます。国民はその人の説明を聞いて、評価、批判をすれば良いと思うのです。「東京地検特捜部が不正をしたと言っているから、不正をした」という前提が作られることは、健全な議論をすることを妨げます。

金融の不正で多いのは、「利益の保証」です。
株・投資信託の営業マンがこれをやったら、一発退場ですので、覚えておいてください。

証券を売っている人で、こんなことを言う人がいたら、すぐに当局(NASD)に連絡をしてください。

「この株を今買っておけば、必ず上がりますよ」
「この投資信託は、過去20年間で、○%上昇してきたから、今後も○%の上昇が期待できますよ」

株や投資信託(ミューチュアル・ファンドが一般的)の販売に携わる者は、特定の商品の、将来価格を予測してはいけない、というのが原則です。
株や投資信託と言うのは、性質上、上がったりも下がったりもするからです。それを、ことさら上がることだけを強調して、消費者を扇動することは、極めて悪質な犯罪とされています。

なので、彼らは、「値段が上がりますよ」と言ってはいけないんです。

ところが、一方の事実として、消費者は、将来価格が上がることを期待して証券を買います。

そんな時に、どうやって証券・営業マンは、その商品を説明するのでしょうか?
実は、将来の予測はできないけれども、過去の実績なら、示して良い、というルールがあります。

つまり、たとえば「過去10年間この投資信託は○%上がってきた」、とまで示すことはできるのです。
しかし、ここから、「だから今後も○%期待できるだろう」と結論づけることはできません。
「この先、価格は上がるかもしれないが、保証はできない。将来的には価格が下がるリスクもあるし、元本の保証もありません」、と価格が下がるリスク・元本を失うリスクをきちんと説明するいうのが、正しい商品説明の原則です。

また、営業マンが、利益を個人的に保証するのも厳禁です。つまり、お客さんが損をした時に、個人的にポケットマネーからお金を出して、損の埋め合わせをすることは、禁止されています。


通常の場合、書面で、「この商品は、元本の保証がないことを承知している」ということが書かれた紙にサインをさせられます。

自分が何にサインしているのかを、きちんと認識して、わからなければ質問をするようにしてください。
そして、そのサインの全責任は、自分にあるのだと、オーナーシップを持つようにすべきです。

金融商品を取り締まる法律は、各州ごとによって異なります。

したがって、カリフォルニア州で買えたAという保険が、ニューヨーク州では、買えなかったりします。
州によって認められる商品、認められない商品が違うわけですが、規制が一番厳しいのがニューヨーク州です。

規制が厳しいということは、それだけ業者同士の競争が厳しく、過去に不正が横行していた、ということの裏返しです。
また、業者にとって規制が厳しいということは、逆に言うと、消費者としては、一番住みやすい州であるという言い方もできます。しかし、消費者の側が、規制をある程度知っておかないと、だまされたのかどうかさえ、よくわかりません。

一般的に金融の不正と言うのは、短期的な営業目標を達成するために、不正な営業マンがあの手この手を使って、無理やり商品を売りつけることから発生します。

金融商品というのは、複雑です。したがって、きちんとした法律が存在しなかった場合に、知識のある人間が、知識のない人間をだますことは比較的簡単なのです。しかしだからといって、免許のない一般の人が、法律を全て1から10まで勉強すべきかといえば、これは現実的ではないでしょう。

そこで、大事なのは、パターンを認識する、ということです。金融関連の犯罪・不正にはパターンというものがあります。このパターンを覚えておけば、悪質なセールスマンに会った場合にも、正しく対処することができます。

この金融ジャングルをサバイバルする術を身につけるための、正しい情報発信ができればと思います。

私は、NYで金融サービス業を展開しています。

といっても、Wall Street系のような大企業相手ではなく、個人・中小企業向けの金融ソリューションを提供しています。具体的な収入源としては、保険・投資信託販売や、学費コンサルティング、損害保険事業がありますが、私は保険の営業マンであるつもりもなければ、株の販売屋であるつもりもありません。

私は、自分のことを、武器商人だと思っています。武器商人は、軍隊の戦略・戦術にあわせて、目的を達するためにもっとも有効な武器を提供します。これと同じで、私は家族・企業の立ち向かおうとしている問題をクリアにして、それに対する適切な武器(解決策)を提示するのが役目だと思っています。
その結果、販売するのが保険だったり、投資商品だったりするわけです。

2年前に、この世界に入って驚いたことは、いかに一般人が間違った金融情報に振り回されているかということです。どうやらそうして振り回される背景には、一般の人が持つ欲や、その欲をうまく利用して儲けようとする供給側の企業のサービス体制があると思うのです。

金融商品というのは、わかりにくいために、人の損得勘定を狂わせます。
日々のスーパーの買い物で1ドル、2ドルの節約を考えている主婦が、金融商品では余裕で1,000、2,000ドル損をしている現実があります。

インパクトが大きいから、民間人は、もっと金融のことを、よく知らないといけない、と思うのです。
しかも、在米日本人なら、日本語での情報提供が限られているから、なおさらのことです。

アメリカで生き抜く日本人に、金融機関・保険会社が教えたくなかった金融の裏情報をお届けできればと思っています。

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