中学校の頃、「悪徳商法に気をつけて」とかいうパンフレットを渡され、世の中に存在する悪事の数々とそれを実行しようとする人達に、何ともいえぬ好奇心をひかれた記憶があります。そのパンフレットには、ずるがしこそうな顔をしたオネエサンが、いかがわしい商品を善良な市民に勧めているイラストが描いてありました。「こんなのに騙されるのか。こんな怪しいヤツが自分の目の前に出てきたら、うまいこと言って、やり込めてやろう」と思ったものです。
その後の人生で、「怪しいヤツ」は、現れませんでした。それでも、私はたくさんの人に騙されました。本を注文したら、コピー用紙が送られてきました。証書付きの中古車を買ったら、実は事故車でした。身に覚えの無い会員権の請求をされました。パソコンを預けたら、盗まれました。思えば、全ては自己責任。私が甘かったのです。幾多の経験を経て「詐欺師は、あのパンフレットに載っていた、ずるがしこそうな顔をしていない」ということを学んだわけです。
バーニー・メイドフというヘッジ・ファンド代表が逮捕されました。彼は、500億ドル(約5兆円!!)という、史上最大の詐欺をはたらいたのです。元NASDACの理事長という肩書きを引っ提げ、大富豪からお金をを集めたわけですが、ほとんど全てが露と消えました。彼の顧客も、「まさかメイドフが」と驚きを隠せなかったようです。
これを見て、「やっぱり詐欺師は詐欺師の顔をしてないな」とまた自説の確信をしていたのですが、それを覆す例があるのも事実です。近頃日本で逮捕されたL&G元会長の波会長、少し前に話題をさらったワールドオーシャンズファームの黒岩会長を見ると、大変失礼ですが「どう見ても怪しいだろ!」とツッコミたくなる顔をしています。それでも、多くの人が騙されてしまうのは、彼らがそんな怪しさを克服する「信用の演出」を、いろいろな手段で用意していたからなのでしょう。
これらの犯罪でどういう手法がとられているかというと、全て”Ponzi Scheme”が使われています。”Ponzi Scheme”というのは、出資者に対するリターンを、新たな出資者からのお金で捻出する、というもので、ねずみ講と似たようなものです。この手法では、全ての人に返すお金がそもそもないので、いずれ資金が尽き、例外なく破綻します。アメリカや日本の政府の年金システムは、”Ponzi Scheme”なのではないかという話もあります。もともとの年金の設計上、若い人からの税金で、退職した人にお金を支給するシステムなのですから、高齢化社会が進行すれば、給付を減らさない限り、破綻するのは当然です。
“Ponzi Scheme”のような、小学生でもわかりそうな古典的な詐欺手法が、プレゼンテーションを変えることによって、今でも通用してしまうのは驚きです。詐欺師はScam Artistと言いますが、ある意味本当に芸術家です。こういう例をたくさん見ると、段々騙されない自信がなくなってきます。
人と接する際に、疑いばかりから入るのは、個人的にはやりたくないことです。だから、自分が時々騙されてしまうのは、ある程度仕方のないことだと今では思っています。少なくとも、自分のビジネスでは、お金をお支払いいただいているお客様の期待は超えるように、そしてお客様の期待と現実の結果が異なってしまった場合にも、逃げずに誠意を持って対応しよう、ということを改めて肝に銘じたのでした。
その後の人生で、「怪しいヤツ」は、現れませんでした。それでも、私はたくさんの人に騙されました。本を注文したら、コピー用紙が送られてきました。証書付きの中古車を買ったら、実は事故車でした。身に覚えの無い会員権の請求をされました。パソコンを預けたら、盗まれました。思えば、全ては自己責任。私が甘かったのです。幾多の経験を経て「詐欺師は、あのパンフレットに載っていた、ずるがしこそうな顔をしていない」ということを学んだわけです。
バーニー・メイドフというヘッジ・ファンド代表が逮捕されました。彼は、500億ドル(約5兆円!!)という、史上最大の詐欺をはたらいたのです。元NASDACの理事長という肩書きを引っ提げ、大富豪からお金をを集めたわけですが、ほとんど全てが露と消えました。彼の顧客も、「まさかメイドフが」と驚きを隠せなかったようです。
これを見て、「やっぱり詐欺師は詐欺師の顔をしてないな」とまた自説の確信をしていたのですが、それを覆す例があるのも事実です。近頃日本で逮捕されたL&G元会長の波会長、少し前に話題をさらったワールドオーシャンズファームの黒岩会長を見ると、大変失礼ですが「どう見ても怪しいだろ!」とツッコミたくなる顔をしています。それでも、多くの人が騙されてしまうのは、彼らがそんな怪しさを克服する「信用の演出」を、いろいろな手段で用意していたからなのでしょう。
これらの犯罪でどういう手法がとられているかというと、全て”Ponzi Scheme”が使われています。”Ponzi Scheme”というのは、出資者に対するリターンを、新たな出資者からのお金で捻出する、というもので、ねずみ講と似たようなものです。この手法では、全ての人に返すお金がそもそもないので、いずれ資金が尽き、例外なく破綻します。アメリカや日本の政府の年金システムは、”Ponzi Scheme”なのではないかという話もあります。もともとの年金の設計上、若い人からの税金で、退職した人にお金を支給するシステムなのですから、高齢化社会が進行すれば、給付を減らさない限り、破綻するのは当然です。
“Ponzi Scheme”のような、小学生でもわかりそうな古典的な詐欺手法が、プレゼンテーションを変えることによって、今でも通用してしまうのは驚きです。詐欺師はScam Artistと言いますが、ある意味本当に芸術家です。こういう例をたくさん見ると、段々騙されない自信がなくなってきます。
人と接する際に、疑いばかりから入るのは、個人的にはやりたくないことです。だから、自分が時々騙されてしまうのは、ある程度仕方のないことだと今では思っています。少なくとも、自分のビジネスでは、お金をお支払いいただいているお客様の期待は超えるように、そしてお客様の期待と現実の結果が異なってしまった場合にも、逃げずに誠意を持って対応しよう、ということを改めて肝に銘じたのでした。