Midtown Report

ビジネスと人間に関する発見と考察 from Los Angeles & New York

カテゴリ: 悪徳商売

中学校の頃、「悪徳商法に気をつけて」とかいうパンフレットを渡され、世の中に存在する悪事の数々とそれを実行しようとする人達に、何ともいえぬ好奇心をひかれた記憶があります。そのパンフレットには、ずるがしこそうな顔をしたオネエサンが、いかがわしい商品を善良な市民に勧めているイラストが描いてありました。「こんなのに騙されるのか。こんな怪しいヤツが自分の目の前に出てきたら、うまいこと言って、やり込めてやろう」と思ったものです。

その後の人生で、「怪しいヤツ」は、現れませんでした。それでも、私はたくさんの人に騙されました。本を注文したら、コピー用紙が送られてきました。証書付きの中古車を買ったら、実は事故車でした。身に覚えの無い会員権の請求をされました。パソコンを預けたら、盗まれました。思えば、全ては自己責任。私が甘かったのです。幾多の経験を経て「詐欺師は、あのパンフレットに載っていた、ずるがしこそうな顔をしていない」ということを学んだわけです。

バーニー・メイドフというヘッジ・ファンド代表が逮捕されました。彼は、500億ドル(約5兆円!!)という、史上最大の詐欺をはたらいたのです。元NASDACの理事長という肩書きを引っ提げ、大富豪からお金をを集めたわけですが、ほとんど全てが露と消えました。彼の顧客も、「まさかメイドフが」と驚きを隠せなかったようです。

これを見て、「やっぱり詐欺師は詐欺師の顔をしてないな」とまた自説の確信をしていたのですが、それを覆す例があるのも事実です。近頃日本で逮捕されたL&G元会長の波会長、少し前に話題をさらったワールドオーシャンズファームの黒岩会長を見ると、大変失礼ですが「どう見ても怪しいだろ!」とツッコミたくなる顔をしています。それでも、多くの人が騙されてしまうのは、彼らがそんな怪しさを克服する「信用の演出」を、いろいろな手段で用意していたからなのでしょう。

これらの犯罪でどういう手法がとられているかというと、全て”Ponzi Scheme”が使われています。”Ponzi Scheme”というのは、出資者に対するリターンを、新たな出資者からのお金で捻出する、というもので、ねずみ講と似たようなものです。この手法では、全ての人に返すお金がそもそもないので、いずれ資金が尽き、例外なく破綻します。アメリカや日本の政府の年金システムは、”Ponzi Scheme”なのではないかという話もあります。もともとの年金の設計上、若い人からの税金で、退職した人にお金を支給するシステムなのですから、高齢化社会が進行すれば、給付を減らさない限り、破綻するのは当然です。

“Ponzi Scheme”のような、小学生でもわかりそうな古典的な詐欺手法が、プレゼンテーションを変えることによって、今でも通用してしまうのは驚きです。詐欺師はScam Artistと言いますが、ある意味本当に芸術家です。こういう例をたくさん見ると、段々騙されない自信がなくなってきます。

人と接する際に、疑いばかりから入るのは、個人的にはやりたくないことです。だから、自分が時々騙されてしまうのは、ある程度仕方のないことだと今では思っています。少なくとも、自分のビジネスでは、お金をお支払いいただいているお客様の期待は超えるように、そしてお客様の期待と現実の結果が異なってしまった場合にも、逃げずに誠意を持って対応しよう、ということを改めて肝に銘じたのでした。

同一区域に住む複数の方から、ある金融業者から詐欺を受けた、という話をお伺いしました。

これに巻き込まれた人は、大変気の毒なことですし、何があってもその業者以外に悪者はいないはずです。しかし、一件正しいことをしているようで、うまい話を持ちかけてくる人はたくさんいて、誰よりも気をつけなければならないのは消費者です。

誰もがわかっていることなのですが、うまい話には、必ず裏があるのです。
実際には多くの人がやりたがらないストレスのある仕事が含まれていたり、実は長期でみるとコストがかかっていたりします。勧めている人も、たいていマンガに出てくるような悪徳セールスマンのような顔はしていないもので、本当に善か悪かは結論できないケースが多いのです。

そこで、振り返らざるを得ないのは、自分が提供している商品についてです。
いくつかの商品の中には、「こんなにうまい話があるのか!」と思ってしまうようなものがあります。商品の説明をしていると、お客様の眉間にしわが寄ってくるようなこともあります。

こういう商品の場合、必ず、どこかで消費者が損している部分、負担を負わなければならない部分というのはあるんですね。
ところが、ある家計の状況によっては、その損の部分をあまり損として認識しないケースがあって、その場合にのみ「その商品はこのケースでは有効」という結論を出せるわけです。

そういったことを、きちんと説明するのは、自分のような知識商売においては最重要と心得ています。

結論としては、自分のよく知らない領域で大金をはたいて儲けようとすると、必ずコケるし、成功したとしてもそれに「再現性」というものがないんです。それを身に沁みて認識すべきだと思います。

さて、一昨日はプリンタが間違って配送されたわけですが、本日待っていた所、午前中にきちんと届きました。

届けられた側もおかしいと思ったのでしょう。箱自体はあけられておらず、無傷でした。配達員は、何食わぬ顔で配達してきました。


以前、ソフトウェアのCDをWebサイトで頼んだことがあって、郵便で送られてきたのですが、なかなか届かないなぁと思っていた所、今回と似たようなことが起こりました。

Web上でトラッキングすると、別の人物が、サインをして受け取っていたことがわかったのです。

その時の郵便局の対応には閉口しました。「ちゃんと、そちらの住所に届けられたと書いてある。ちゃんと確認してくれ」とか、「誰かがサインしたと書いてあるから、その人に確認しろ」と言うだけなのです。

どこの誰に届けられたかもわからず、何の連絡もないのに、確認も何もないと思うのですが…。


この前は、母親が日本で「ダ・ヴィンチ・コード」を読んだあと、面白かったというので、わざわざ送ってくれました。

到着したのは、上・中・下のうち、「中」だけ。
包んでいた袋がやぶれたのでしょうか、無造作にテープが巻かれていました。


送った荷物が届かない、というのは考えるだけでも寂しいですね。
何だか、むなしくなってきます。

先週、オンラインでGatewayのノートPCを買いました。

Gatewayにした理由は、日本でデスクトップ、ノートブックと使っていて、なんとなく愛着があったからです(日本では一時撤退していましたが)。

で、メールリベートでプリンタがタダでついてくると言うので、一応プリンタも頼んでおきました。

パソコンは昨日到着したのですが、プリンタがまだ来ないなぁ、と思っていたところ、Gatewayから到着確認のメールが送られてきました。


Gatewayのメールから、FedExのページに行くと、

Jun 8, 2006 11:30 AM Delivered New York, NY

何と、到着している、ということになっています!

私自身は全くプリンタを見てもいないのに、すでに今日の昼ごろプリンタが到着したというのです。しかも、サインをした人の名前まで書いてありますが、当然私の名前ではありません。


すでに日常茶飯事だと分かっていることとはいえ、私はまた暗ーい気持ちになりました。どうしてこうも、高い確度で間違いが発生しなければならないのでしょうか。

私は高い確率で戻ってこないことを覚悟の上で、FedExへ連絡をしました。

電話して確認すると、私の事務所のアドレスである501 Fifth Aveではなく、505 Fifth Aveに届けられたとのこと。ラベルにはきちんと正しい住所になっているにもかかわらず、この間違いです。
全く信じられませんが、間違いの理由がわかっただけでもマシとしましょう。

24時間以内に、配達を間違ったドライバーから私のところへ電話がかかってくるとのこと。私のプリンタは、無事に到着するのでしょうか…とりあえず、待ってみましょう。

個人金融をビジネスとしていて、難しいと感じるのは、商品が個人にとって圧倒的に難しく、全てを完璧に説明することができない点です。

複雑な保険商品などは、いろいろなフィーやメリットが複雑に絡み合っていて、説明しづらいし、お客様が全ての商品を理解し比較した上で購入することなどできません。

だからこそ「お客さんには複雑過ぎるから、簡潔に説明しろ」とはよく言われるのでしょうが、それをやってしまうと、「よく理解しないのに買ってしまった」ということになってしまいます。

事実、お客様がすでに持っている商品を見て、「これは、当初どういう理由で買われたのですか」と質問すると、「わからない。営業マンに良いと言われたので買った」と言う人も多く、それほど商品自体の価値には関心をもっていないことも多いのが事実です。一つの金融商品がもたらす、一人一人の家計に対するインパクトを考えると、これは由々しき事態です。無神経なアドバイスで資産を失う人は、世の中に無数にいるのです。

よく「保険は人間性で買ってもらう」とか「義理で買わせる」と言う人がいます。そう言えるくらいの営業マンになることは素晴らしいと思いますし、自分自身も、少なくともお客様に信頼されるに足る人間になりたいと思っています。

しかし、そのことと、明確な価値を提供する、ということとは別問題です。仮にも人様のお金を預かっておきながら、こちらから明確なメリットや、ベストの商品を提示しないとすれば、詐欺行為に等しいと思います。

この流れは、もちろん変わりつつあると思います。より多くの独立したアドバイザーが増え、アドバイスの価値自体にお金が払われる形が増えていけばと思います。

後は、いかにお客様に賢くなっていただけるか、どうやって啓蒙していくか、こういうことが本当に重要だなぁと感じています。

パソコンをなくしてから一ヶ月半くらい経った頃、手紙が送られてきました。
それは、TSAからでした。

手紙によると、デルタ航空の空港職員数人が逮捕された、とのこと。
容疑は、乗客の荷物を窃盗したこと、と書かれています。
警察が押し入った容疑者のアジトからは、多くの機械類が押収されたそうです。

数日後、私のオフィスにNYPDから電話がかかってきました。

「被害届けを出した方々に連絡をしている。今、押収した機械等と被害届けを見ながら、あなたの届け出たモノがあるかどうかを確認している」


私は、一連の出来事から、「これで無くしたモノが返ってくる」とすっかり安心してしまいましたが、事はそう甘くはありませんでした。

数週間後に、連絡がないのでNYPDの担当者に連絡をすると、「あなたの届け出た物品と一致するものはなかった」と言います。

結局その後、私の元にパソコンやカメラが戻ってくることはありませんでした。
特に大事な情報が入っていなかったのは不幸中の幸いでしたが、それでもけっこうな額の損失になります。

航空会社に連絡しても、またしても事務的に「フォームがウェブサイトにあるから、記入してくれ」と言われるだけです。「そっちの職員が、盗みをはたらいたんだぞ。何か、会社としての措置はないのか」と言っても、「私はただのオペレーターだから。フォームを記入してくれ」というばかりで、全く話になりません。



紛失した機械類については、航空会社はその損失を乗客に払わなくても良いことになっているそうです。
だから、航空会社としては、乗客のために、なくした機械類を一生懸命探してあげるインセンティブが全くないのです。コストがかかるだけです。
TSAにも「探したけど見つかりませんでした」のようなことを言われれば、こちらはプッシュのしようもありません。


その後、地元の新聞記事を読んだのですが、荷物の紛失が、近年増加しているとのこと。しかも、紛失総数で一番多いのは、デルタ航空だそうです。

紛失が増えている背景には、航空会社がコストを下げるため、職員の質が落ちている、というようなことが書かれていました。

その紛失の中に、どれだけ犯罪が含まれているのだろうと思います。
多くの犯罪者が、職員としてまんまと空港内部に潜入して、今でも多くの物品が盗んでいるのではないかと、私は思います。

こういう犯罪は、本当に許せませんが、航空会社の態度も許しがたいです。
クラスアクションが起きたら、ぜひ参加したいです。



しかし、振り返ってみると、「貴重品は手元に持っておく」という、基本中の基本を、私が守らなかったことも事実です。私としては、こういう現実があることを受け止めて行動を改め、今後の被害を予防するのみです。


これを読んでいる人は、どうか気をつけてください。

4日の日程が過ぎ、私はLAからニューヨークへ戻りました。

JFK空港に到着した私は、その足でデルタ航空の窓口に行きました。
デルタ航空の窓口では、拾得物を管理していました。
私は、彼らが預かっているものを見せてもらいましたが、私のパソコンは、そこにありませんでした。

その後、私は、最初に通貨したTSAのセキュリティエリアまで行き、そこにいた職員に起こったことを話しました。職員は親身になって聞いてくれ、彼のボスを呼んでくれました。

TSAのボスに、私は、パソコンをとられたことを話し、TSAが抜き取ったのではないかと質問しました。

彼は、「パソコンか爆発物かどうかは、スキャンしてみれば一目瞭然だ。カメラだってわかる。だから、何千何万の荷物を処理しているTSAの職員が、そういうものを安全目的で抜き取ることはまず考えられない」と説明しました。

「いずれにしても、我々としては、そういう事態に対して厳正に対処しているつもりだ。だから、本部の方にぜひ報告をしてくれ」

そう言って、TSAのボスは私に記入フォームを渡しました。
彼は、こちらの話をとてもよく聞いてくれたので、私としては好印象を持ちました。

後日、私は記入フォームにことのいきさつを記入しました。




すると、1ヵ月半くらい後のことでしょうか、ある手紙が送られてきました。

LAX空港に着いた私は、そのまま荷物の受け取り場で待ちました。

20分くらい経った頃でしょうか、ようやく私の荷物がコンベアーに運ばれて出てきました。

事務所のボスが迎えに来てくれていたので、早速車に乗り込み、そのまま予約していたホテルへ向かいました。

ホテルに着いた後、「これからけっこういいモノ食べにいくぞ」とボスが言うので、Yシャツくらいは着ていこうと、荷物を開けたとき、異変に気づきました。

ノートパソコンが、なくなっていたのです。

パソコンの電源もありません。

よくよく探してみると、デジタルカメラもなくなっています。



頭の血が一気に引いたような感覚に襲われながら、私はバッグをひっくり返しました。しかし、何も出てきませんでした。

呆然としていると、いつまで経っても出てこない私を心配して、ボスが部屋にやってきました。

「どうしたんだ」
「パソコンがなくなってる…空港の人間にとられたに違いない」
「航空会社に電話をした方がいい」

私は早速、航空会社に電話をしました。
航空会社は、"Lost Baggage"に対応するための部門を持っていました。
私は、どんなモノをなくしたのかを、彼らに説明しましたが、何となく事務的に処理されたように感じました。

最後にパソコンを見たのは、JFK空港ですから、あの時セキュリティエリアで荷物を渡してから、LAX空港のコンベアーで荷物が出てくるまでの間に、TSAか航空会社の職員が抜き取ったに違いありません。

しかし、この時点では、それが犯罪であるかどうかについては、自信を持てませんでした。
「ひょっとして、安全のために、機械類は全部抜き取っておくのかな?」と思いました。


私は、ニューヨークで、バッテリーパークのフェリーに乗ったとき、ノートパソコンを起動させられて、爆弾ではないことを確かめられたことを思い出しました。

「もしかしたら、JFK空港に戻れば、誰かが預かっているのかもしれない」

そんな希望と、一抹の不安を抱えながら、ロサンゼルスでの4日を過ごしました。

ノートパソコンを盗まれた話をします。


昨年の、12月の初旬のことです。
私は、新しく支部を作ることになった損害保険代理店の本店を訪れるべく、JFK空港から、飛行機でカリフォルニアのLAX空港に向かっていました。

利用した航空会社はデルタ航空。

私は、デルタ航空のカウンターで、チェックインを済ませ、手荷物を自分で持って行こうと、TSAのセキュリティエリアに運びこみました。
TSAというのは、Transportation Security Administrationという政府の機関の略で、荷物と体をスキャンする例の人たちの組織です。

セキュリティエリアを通ろうとしたその時、TSAの男に呼び止められました。

どうも、手荷物が大きすぎるらしいのです。男は、「持って行ってやるよ」と言いました。

私は、一瞬迷いました。
中にはノートパソコンが入っています。私にとっては、その時点では、そのノートパソコンが盗られることは全く考えておらず、むしろパソコンが衝撃で壊れてしまうのではないか、ということを心配していました。

本当はリュックでもあれば、機内に持ち込むのですが、それもなかったため、私は洋服などでパソコンへの衝撃が吸収されることを確かめ、渋々そのTSAの男に手荷物を渡しました。

手荷物の中には、デジタルカメラも入っていました。



私は、こうして飛行機に乗り、LAX空港に向かいました。

(続く)

カーディーラーにだまされた話を、以前このブログで書きましたが、

要約すると、

- あるディーラーで、中古車を買った
- 中古車が、事故車であったことが判明した
- Autocapという消費者保護団体を利用して、ディーラーに圧力をかけた
- 最終的に、高価で車を買い戻してもらった

ということになります。

私は、自分の車が事故車であったことを知った時には、それはもう信じられない思いで一杯だったのですが、時間が経過して、今こうして振り返ってみると、案外、大した出来事じゃないのかなと思い始めました。

どうも、アメリカでは、このようなことは起こるものだと想定して生活をしていた方がいいようです。
もっと、ひどいことでダマされているひとがたくさんいるので、自分の出来事が大したことでないような気がしてきます。



以下のような、言い回しをすることがあります。

Fool me once, shame on you. Fool me twice, shame on me.

なんと訳していいのか、このセンテンスの語感があまりにもいいので、日本語にするのが何とも難しいのですが…思いっきり意訳すると、

"騙すことは、恥ずべきことだが、2回騙されるヤツも、恥じるべきだ。"

という、感じでしょうか。


もう、このようなことは2度と起こさない、と決意を固めている次第です。

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