最近、ちょっと日本に行ってきまして、本を結構読んできました。
資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言
著者:中谷 巌
販売元:集英社
発売日:2008-12-15
おすすめ度:
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父親に勧められて読みました。
中谷氏は、私が大学にいた頃、看板教授のような人だったと思います。私は社会学部だったので、学内で見たことはありませんでしたが、政府やメディアでの働きぶりは私もよく知っていました。彼の著作を読んだのは、これが初めてです。アメリカ型の資本主義を日本に取り入れようとしていた著者が自身の誤りを認め、懺悔したのが、本著です。非常に面白い本でした。アメリカに住んでいると、日本の良さがすごくよくわかるので、納得させられることが多いです。
これは、経済書というよりも、比較文化論的な内容として読んだ方が楽しめると思います。ただ、途中のアメリカ人の描写がどうも画一的で、日々アメリカ人と接している自分としてはどうもピンとこないことが多かったのは事実です。Amazonのレビューの評価がいまいち悪いのが気になりますが、前評判が高い書物ほど、こうなりやすいんですよね。
金融危機の本質は何か―ファイナンス理論からのアプローチ
著者:野口 悠紀雄
販売元:東洋経済新報社
発売日:2009-01
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この本は、今回の金融危機をファイナンス理論から解き明かしています。「高度なファイナンス理論が、今回の危機を招いた」という解釈を排し、今回の危機は、逆にファイナンス理論を利用しなかったために招かれたものだ、と筆者は主張しています。結局、市場リスクを金融商品の価格と格付けに反映できなかったことが問題だと、明快に分析しています。メディアであまりに感情的な議論が先行しているので、私としてはこういう明快な論理で説明してくれていることがありがたいです。
さらばアメリカ
著者:大前 研一
販売元:小学館
発売日:2009-02-07
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以前、コンサルティング会社に勤めていたので、入社当時は大前氏の本を神の本として読んでいました。あの時大前氏の本を読んでいたからこそ、入社3年以内に、IT、英語、財務というサラリーマンの基礎を集中的に勉強できたと思っています。だから、大前氏には本当に感謝しています。しかしながら、この本はどうなんだろう…。かなり独りよがりの主張が目立つような気がします。これも、中谷氏の本と似たようなところがあって、アメリカ人は○○、と画一的にまとめてしまっているところがあり、そういう主張には私は全くピンと来ません。そんな単純じゃない多様性が、アメリカ人の唯一の特徴なのですから。
あと、自身がMITに留学した時には奨学金が出たのに、今はアメリカは外国人に奨学金を出さず、国として懐の深さや寛大さが完全に消滅したと書いてありますが、これはデタラメです。MITやアイビー系の大学なら今でも外国人に市民と同様の条件で奨学金を出します。日本人も、家庭の年収が600万円以下なら、タダでハーバードにいけます。
CNNにまつわるメディアの話も、疑問符をつけざるを得ませんでした。CNNは、ニュース番組の視聴率が必ずしも1番ではないので、なぜCNNを以ってアメリカの代表とするのか、わかりませんでした。たまたまスカイパーフェクTVで自身が視聴しているから取り上げたのでしょうか。アメリカでは、プログレッシブと呼ばれる人たちの番組も台頭してきていますが、そういうことには全く触れていないことに違和感を感じました。
それでも、大前氏の研究熱心さには頭が下がるし、彼の文章の自信満々な感じは好きです。
スティグリッツ入門経済学 <第3版>
著者:J.E.スティグリッツ
販売元:東洋経済新報社
発売日:2005-04-08
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これは面白いです…。情報の非対称性を考える、という脳みその訓練ができました。考えてみると、アメリカの学費が急騰したまま、全く下がる兆候を見せないのは、情報の非対称性で説明がつきます。購入者が、欲しいものが何かを定量的・定性的にわかっていない。だから、サービスの提供者が値を上げたい放題、なのです。もっと研究してみたい、と思わせてくれました。
徹底抗戦
著者:堀江 貴文
販売元:集英社
発売日:2009-03-05
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堀江さんの徹底抗戦。堀江さんの本は、彼が逮捕される前にほとんど読んでいました。彼の著作を読むと、あんな犯罪を起こすほど彼は頭が悪くないことがわかります。事件が起きたときには、「まぁ、堀江さんには悪意はなかったんだろう」と思いました。あまりにも真っ直ぐな人なんだと思います。この本は彼の立場から事件の経緯が書かれていて、非常に興味深いものでした。個人的には、最高裁で無罪判決が出ることを願ってます。
あと5センチ、夢に近づく方法―渡邉美樹が戦いながら身につけた起業論 (祥伝社黄金文庫)
著者:渡邉 美樹
販売元:祥伝社
発売日:2006-07
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和民の渡邉社長、ホント尊敬してます。
資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言
著者:中谷 巌
販売元:集英社
発売日:2008-12-15
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父親に勧められて読みました。
中谷氏は、私が大学にいた頃、看板教授のような人だったと思います。私は社会学部だったので、学内で見たことはありませんでしたが、政府やメディアでの働きぶりは私もよく知っていました。彼の著作を読んだのは、これが初めてです。アメリカ型の資本主義を日本に取り入れようとしていた著者が自身の誤りを認め、懺悔したのが、本著です。非常に面白い本でした。アメリカに住んでいると、日本の良さがすごくよくわかるので、納得させられることが多いです。
これは、経済書というよりも、比較文化論的な内容として読んだ方が楽しめると思います。ただ、途中のアメリカ人の描写がどうも画一的で、日々アメリカ人と接している自分としてはどうもピンとこないことが多かったのは事実です。Amazonのレビューの評価がいまいち悪いのが気になりますが、前評判が高い書物ほど、こうなりやすいんですよね。
金融危機の本質は何か―ファイナンス理論からのアプローチ
著者:野口 悠紀雄
販売元:東洋経済新報社
発売日:2009-01
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この本は、今回の金融危機をファイナンス理論から解き明かしています。「高度なファイナンス理論が、今回の危機を招いた」という解釈を排し、今回の危機は、逆にファイナンス理論を利用しなかったために招かれたものだ、と筆者は主張しています。結局、市場リスクを金融商品の価格と格付けに反映できなかったことが問題だと、明快に分析しています。メディアであまりに感情的な議論が先行しているので、私としてはこういう明快な論理で説明してくれていることがありがたいです。
さらばアメリカ
著者:大前 研一
販売元:小学館
発売日:2009-02-07
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以前、コンサルティング会社に勤めていたので、入社当時は大前氏の本を神の本として読んでいました。あの時大前氏の本を読んでいたからこそ、入社3年以内に、IT、英語、財務というサラリーマンの基礎を集中的に勉強できたと思っています。だから、大前氏には本当に感謝しています。しかしながら、この本はどうなんだろう…。かなり独りよがりの主張が目立つような気がします。これも、中谷氏の本と似たようなところがあって、アメリカ人は○○、と画一的にまとめてしまっているところがあり、そういう主張には私は全くピンと来ません。そんな単純じゃない多様性が、アメリカ人の唯一の特徴なのですから。
あと、自身がMITに留学した時には奨学金が出たのに、今はアメリカは外国人に奨学金を出さず、国として懐の深さや寛大さが完全に消滅したと書いてありますが、これはデタラメです。MITやアイビー系の大学なら今でも外国人に市民と同様の条件で奨学金を出します。日本人も、家庭の年収が600万円以下なら、タダでハーバードにいけます。
CNNにまつわるメディアの話も、疑問符をつけざるを得ませんでした。CNNは、ニュース番組の視聴率が必ずしも1番ではないので、なぜCNNを以ってアメリカの代表とするのか、わかりませんでした。たまたまスカイパーフェクTVで自身が視聴しているから取り上げたのでしょうか。アメリカでは、プログレッシブと呼ばれる人たちの番組も台頭してきていますが、そういうことには全く触れていないことに違和感を感じました。
それでも、大前氏の研究熱心さには頭が下がるし、彼の文章の自信満々な感じは好きです。
スティグリッツ入門経済学 <第3版>
著者:J.E.スティグリッツ
販売元:東洋経済新報社
発売日:2005-04-08
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これは面白いです…。情報の非対称性を考える、という脳みその訓練ができました。考えてみると、アメリカの学費が急騰したまま、全く下がる兆候を見せないのは、情報の非対称性で説明がつきます。購入者が、欲しいものが何かを定量的・定性的にわかっていない。だから、サービスの提供者が値を上げたい放題、なのです。もっと研究してみたい、と思わせてくれました。
徹底抗戦
著者:堀江 貴文
販売元:集英社
発売日:2009-03-05
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堀江さんの徹底抗戦。堀江さんの本は、彼が逮捕される前にほとんど読んでいました。彼の著作を読むと、あんな犯罪を起こすほど彼は頭が悪くないことがわかります。事件が起きたときには、「まぁ、堀江さんには悪意はなかったんだろう」と思いました。あまりにも真っ直ぐな人なんだと思います。この本は彼の立場から事件の経緯が書かれていて、非常に興味深いものでした。個人的には、最高裁で無罪判決が出ることを願ってます。
あと5センチ、夢に近づく方法―渡邉美樹が戦いながら身につけた起業論 (祥伝社黄金文庫)
著者:渡邉 美樹
販売元:祥伝社
発売日:2006-07
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和民の渡邉社長、ホント尊敬してます。
コメント
コメント一覧 (4)
エコノミストとか評論家って売れっ子になり過ぎると、ジェットコースター的って言うか大衆迎合的になっちゃうんだよね。特に今のアメリカは実際に肌で感じないと分からないでしょ。
大衆に迎合してアメリカをただ批判すりゃぁいい、という風潮は疑問だよね。これからクルーグマンの本をちょっといくつか買って読もうと思ってます。
■私は大前研一さんの「企業参謀」という本を読まなければコンサルタントになろうと思わなかったと思います。今でも時々読み返します。
>彼の文章の自信満々な感じは好きです。
ここで一番受けました!私も好きです。
たぶん彼の本を読んだ直後に自分も文章を書くと影響を受けていると思います。
昔上司が、「仁義なき戦い」を映画館で見た後、街に出ると自分が強くなった気がした、と言ってましたが、同じ現象かもしれません。
1ドルの話はまさにそうですね。完全な市場競争では、1ドル札は絶対に道に落ちていない、ということです。でも、実際にゆがみは結構ありますよね。
そう、大前氏の文章を読むと何か偉くなった気がするんですよね。もう誰にも論破されないぞ、みたいなパワーが読むだけで「何となく」手に入ります。こういう健全な勘違いは利用するだけしないと。