ストリートビューで小平市を探検した話を書きましたが、もともとは、Mr. Childrenの歌を聴いているうちに、昔のことを思い出して、小平の情景が浮かんだことから、ちょっと見てみたくなったのです。
CDの棚を整理していたところ、「売上アップ云々」、と書かれたビジネス系のDVDがあって、「そうだ、これを久しぶりに見てみよう」と思ってケースを開いたところ、DVDではなく、ミスチルの"Atomic Heart"というアルバムCDが入っていました。
CD管理の悪さを露呈したわけですが、それは置いておいて、久しぶりにOverやらCross Roadやらを聴いてみると、よく聴いていた頃の情景がよみがえってきました。
Mr. Childrenの曲は何がいいのか、といえば、やはり歌詞がいいと思うんです。
愛とか夢とか希望とか歌う人がいたりしますが、ミスチルはそういうことについて歌っても「こんなこと表面上は言ってるけど、裏では実はこんなこと考えてるんだ」みたいな、普段人が言わないような、隠したいと思うようなことまで見事にさらけ出して詞にしてしまってるところがすばらしいと思うんです。
…って、こんなこと、ミスチルファンなら、誰でも知ってることで、改めて言うまでもないんですが、その表現の仕方とか、「今の自分の全てに正直であろう」という真摯な姿勢は、すごく憧れるんですよね。
自分について完璧で美しいことばかり言ったり、なんとなく聴き触りの良いことばかりを言ったりするのではなくて、実は裏でどうしても持っている欲望だとか、適当さだとか、劣っているところだとか、そういうことも全部含めて自己表現できる、という所に自由さを感じます。しかも諦めや絶望だけに終わるような青臭さがなくて、「それでも生きていくんだ」というような、いつも新しい道を模索しようという姿勢が伝わってくるんです。
完璧な言葉ばかり並べる人は、嘘くさいと思うんです。例えば、政治家というのは、完璧なことばかり言う人達の代名詞だと思うんです。相手の政党がAと言えば、自動的にBと言い、相手は100%間違い、我々は100%正しいと。私に投票すれば、明るく開かれた未来が待っていると言うわけです。
誰も、自分の欠点なんて述べないですよね。いつも万人に完璧な自分を見せなくちゃいけない。そういうところに、ものすごく大きな嘘くささを感じるわけです。
だから、逆にマスコミだとか、解説者だとかが、「あの政治家はあんなこと言っているが、裏では利権がからんでいる」「今回の発言は、選挙を前にして〇〇層にアピールする狙いがある」なんて解説をいつも加えなくちゃいけない。
麻生さんが小学校を訪問したら、「これは庶民派としてのアピールだ」とか「またこれは彼のパフォーマンスだ」などと周りは思うわけです。だから、本人がアピールのつもりでも、全くアピールになっていない。支持率は下がる一方です。これは、下心を隠しているように見えるから、余計に白々しいわけです。政治家という職業の構造上、これは仕方なく、個人の責任でないとも言えます。
でも、そんな場面で、もし麻生さんが「僕は小学校訪問しているけど、これは実はアピール目的で、本当は小学生になんかこれっぽっちの興味もない。でも、小学生に会ってみたら、エネルギーがたくさんあって、触発された」なんて本音を自分の言葉で言ってくれれば(これが本音なのかは知りませんが)、少なくとも見ている側は、「表裏がないんだな」と思って彼の言葉に対する信頼度は増すと思うんです。
オバマ大統領は、そういう意味でやはり非常に成熟していると思います。「自分は完璧じゃない。国民の努力と忍耐なくして変革はありえないから、力を貸してくれ。共和党も正しい意見だったら、取り入れるから出してくれ」と言ってのけるオバマ大統領は、嘘くささがありません。2人の閣僚が税申告問題で辞職しましたが、その人事でも言い訳せずに"I screwed up"(「私の大失敗だった」)なんて言えちゃう人なんです。やはりこういう姿勢だからこそ、多少失敗しても(現在もたくさんの失敗を毎日しているように見えます)、国民からの本当の信頼を得られていると思うんですよね。
ビジネスマンでもそうです。どっかからコピー&ペーストしてきたミッション・ステートメントを掲げたって、本当にその人がそのことを思っているのかな、と人は疑ってしまうわけです。中には、名経営者の言葉をそのまま引用して社是にし、その割には顧客ないがしろで金儲けばかり考えている人もいます。それだったら、「稼ぐが勝ち」と誰に対しても表裏なく言えてしまう元ライブドア社長の堀江氏の方がよっぽど軸にブレがなく、人として信頼ができます。
ドロドロとした裏の心を全部さらけ出して、それで太宰治みたいに「生きててすいません」みたいに圧倒的にネガティブな結論に落ち着くのも困りますが、彼は「走れメロス」のような理想の友情も描いたわけで、「負の部分もあるけど、がんばっていこうよ」みたいなベクトルの向け方にはすごく共感します。
自分のブログでも、本当は自分のうまくいっていることだとか、自慢話だとか、楽しいことばかり書きたくなってくるんですが、いいところも悪いところもなるべく全部出そう、という努力は、これでもしているつもりなんです。表現と言う意味では、まだまだ学ぶ点ばかりだと思っています。
話をミスチルに戻します。
ミスチルの歌は、年を経るごとに、どんどん世界観が変化しているなぁ、というのを、ファンなら誰もが感じると思います。紅白歌合戦には出場しない、とずっと言っていたのに、昨年末は出場していました。紅白に出ない、というポリシー自体が、彼らにとって意味のないこだわりに変化したのかもしれません。
そういえば、自分としては珍しく、この前、音楽雑誌を買いました。
桜井和寿氏のインタビューが載っていたからです。
ROCKIN'ON JAPAN (ロッキング・オン・ジャパン) 2009年 01月号 [雑誌]
販売元:ロッキング・オン
発売日:2008-12-20
おすすめ度:
クチコミを見る
紅白のことについては書いてありませんでしたが、デビュー以来のアルバムとその世界観の変遷が、桜井氏自身の口から語られている、貴重なインタビューがこの雑誌に載っています。表現者としてのエゴと、ファンの満足を満たすことを、同時に達成しようとしているんだなぁと、納得しながら読みました。
最後に、
「ミスチルの(シングル以外で)この曲ちょっといいんじゃないの・個人的ベスト10」
1. ティーンエイジ・ドリーム(I〜II)<Kind of Love>
2. 彩り<HOME>
3. Over <Atomic Heart>
4. 星になれたら<Kind of Love>
5. ありふれたLove Story 〜男女問題はいつも面倒だ〜 <深海>
6. Everything is made from a dream<Q>
7. ラララ <DISCOVERY>
8. もっと<HOME>
9. one two three <It's a wonderful world>
10. 幸せのカテゴリー<BOLERO>
いいのかな、これリンクして…?
CDの棚を整理していたところ、「売上アップ云々」、と書かれたビジネス系のDVDがあって、「そうだ、これを久しぶりに見てみよう」と思ってケースを開いたところ、DVDではなく、ミスチルの"Atomic Heart"というアルバムCDが入っていました。
CD管理の悪さを露呈したわけですが、それは置いておいて、久しぶりにOverやらCross Roadやらを聴いてみると、よく聴いていた頃の情景がよみがえってきました。
Mr. Childrenの曲は何がいいのか、といえば、やはり歌詞がいいと思うんです。
愛とか夢とか希望とか歌う人がいたりしますが、ミスチルはそういうことについて歌っても「こんなこと表面上は言ってるけど、裏では実はこんなこと考えてるんだ」みたいな、普段人が言わないような、隠したいと思うようなことまで見事にさらけ出して詞にしてしまってるところがすばらしいと思うんです。
…って、こんなこと、ミスチルファンなら、誰でも知ってることで、改めて言うまでもないんですが、その表現の仕方とか、「今の自分の全てに正直であろう」という真摯な姿勢は、すごく憧れるんですよね。
自分について完璧で美しいことばかり言ったり、なんとなく聴き触りの良いことばかりを言ったりするのではなくて、実は裏でどうしても持っている欲望だとか、適当さだとか、劣っているところだとか、そういうことも全部含めて自己表現できる、という所に自由さを感じます。しかも諦めや絶望だけに終わるような青臭さがなくて、「それでも生きていくんだ」というような、いつも新しい道を模索しようという姿勢が伝わってくるんです。
完璧な言葉ばかり並べる人は、嘘くさいと思うんです。例えば、政治家というのは、完璧なことばかり言う人達の代名詞だと思うんです。相手の政党がAと言えば、自動的にBと言い、相手は100%間違い、我々は100%正しいと。私に投票すれば、明るく開かれた未来が待っていると言うわけです。
誰も、自分の欠点なんて述べないですよね。いつも万人に完璧な自分を見せなくちゃいけない。そういうところに、ものすごく大きな嘘くささを感じるわけです。
だから、逆にマスコミだとか、解説者だとかが、「あの政治家はあんなこと言っているが、裏では利権がからんでいる」「今回の発言は、選挙を前にして〇〇層にアピールする狙いがある」なんて解説をいつも加えなくちゃいけない。
麻生さんが小学校を訪問したら、「これは庶民派としてのアピールだ」とか「またこれは彼のパフォーマンスだ」などと周りは思うわけです。だから、本人がアピールのつもりでも、全くアピールになっていない。支持率は下がる一方です。これは、下心を隠しているように見えるから、余計に白々しいわけです。政治家という職業の構造上、これは仕方なく、個人の責任でないとも言えます。
でも、そんな場面で、もし麻生さんが「僕は小学校訪問しているけど、これは実はアピール目的で、本当は小学生になんかこれっぽっちの興味もない。でも、小学生に会ってみたら、エネルギーがたくさんあって、触発された」なんて本音を自分の言葉で言ってくれれば(これが本音なのかは知りませんが)、少なくとも見ている側は、「表裏がないんだな」と思って彼の言葉に対する信頼度は増すと思うんです。
オバマ大統領は、そういう意味でやはり非常に成熟していると思います。「自分は完璧じゃない。国民の努力と忍耐なくして変革はありえないから、力を貸してくれ。共和党も正しい意見だったら、取り入れるから出してくれ」と言ってのけるオバマ大統領は、嘘くささがありません。2人の閣僚が税申告問題で辞職しましたが、その人事でも言い訳せずに"I screwed up"(「私の大失敗だった」)なんて言えちゃう人なんです。やはりこういう姿勢だからこそ、多少失敗しても(現在もたくさんの失敗を毎日しているように見えます)、国民からの本当の信頼を得られていると思うんですよね。
ビジネスマンでもそうです。どっかからコピー&ペーストしてきたミッション・ステートメントを掲げたって、本当にその人がそのことを思っているのかな、と人は疑ってしまうわけです。中には、名経営者の言葉をそのまま引用して社是にし、その割には顧客ないがしろで金儲けばかり考えている人もいます。それだったら、「稼ぐが勝ち」と誰に対しても表裏なく言えてしまう元ライブドア社長の堀江氏の方がよっぽど軸にブレがなく、人として信頼ができます。
ドロドロとした裏の心を全部さらけ出して、それで太宰治みたいに「生きててすいません」みたいに圧倒的にネガティブな結論に落ち着くのも困りますが、彼は「走れメロス」のような理想の友情も描いたわけで、「負の部分もあるけど、がんばっていこうよ」みたいなベクトルの向け方にはすごく共感します。
自分のブログでも、本当は自分のうまくいっていることだとか、自慢話だとか、楽しいことばかり書きたくなってくるんですが、いいところも悪いところもなるべく全部出そう、という努力は、これでもしているつもりなんです。表現と言う意味では、まだまだ学ぶ点ばかりだと思っています。
話をミスチルに戻します。
ミスチルの歌は、年を経るごとに、どんどん世界観が変化しているなぁ、というのを、ファンなら誰もが感じると思います。紅白歌合戦には出場しない、とずっと言っていたのに、昨年末は出場していました。紅白に出ない、というポリシー自体が、彼らにとって意味のないこだわりに変化したのかもしれません。
そういえば、自分としては珍しく、この前、音楽雑誌を買いました。
桜井和寿氏のインタビューが載っていたからです。
ROCKIN'ON JAPAN (ロッキング・オン・ジャパン) 2009年 01月号 [雑誌]販売元:ロッキング・オン
発売日:2008-12-20
おすすめ度:
クチコミを見る
紅白のことについては書いてありませんでしたが、デビュー以来のアルバムとその世界観の変遷が、桜井氏自身の口から語られている、貴重なインタビューがこの雑誌に載っています。表現者としてのエゴと、ファンの満足を満たすことを、同時に達成しようとしているんだなぁと、納得しながら読みました。
最後に、
「ミスチルの(シングル以外で)この曲ちょっといいんじゃないの・個人的ベスト10」
1. ティーンエイジ・ドリーム(I〜II)<Kind of Love>
2. 彩り<HOME>
3. Over <Atomic Heart>
4. 星になれたら<Kind of Love>
5. ありふれたLove Story 〜男女問題はいつも面倒だ〜 <深海>
6. Everything is made from a dream<Q>
7. ラララ <DISCOVERY>
8. もっと<HOME>
9. one two three <It's a wonderful world>
10. 幸せのカテゴリー<BOLERO>
いいのかな、これリンクして…?

コメント
コメント一覧 (3)
あ、共感といっても”表現者”として、の方で、ミスチルの方ではありませんが・・・。その辺は年代の違いを感じました。
どうも、お久しぶりです!
共感していただいて、私も嬉しく思います。
まぁ、ぜひミスチルの方も、聞いてください・・・いい歌たくさんありますんで。