数週間前、The Church of ScientologyとBBC Panoramaという番組の攻防が、話題になりました。

BBC Panoramaという権威のあるドキュメンタリー番組の記者が、Scientologyの実情をレポートする、という内容なのですが、その攻防が実に面白いです。
何が面白いのかというと、記者側から見たScientologyと、Scientology側から見た記者の姿が両方ウェブサイト上にアップデートされているからです。

このBBCの記者は、John Sweeneyというのですが、Scientologyの取材中に完全に正気を失ってキレるシーンがあり、記者にあるまじき行為として問題となっています。

<Scientology - BBC Panorama Exposed>
http://www.bbcpanorama-exposed.org/watch-the-video-documentary.php

<BBC Panorama - Scientology and Me>
もはやYouTubeからは削除されていました。

<CNNのレポート>
http://www.youtube.com/watch?v=hU0Vh-laTDY

通常、犯罪を隠している集団を記者が取材しようとすると、取材を拒否したり、記者から人が逃げ回る、というのが、よく見られる光景です。この記者は、Scientologyをそのような集団として初めからみなし、それにもとづいて取材を試みているように見えます。

Scientologyは、スポークスマン自身がカメラを引き連れて、記者と真っ向から対峙しています。「初めからオープンに門戸を開いて、会いたい人にも会わせると言っているのに、なぜ勝手にあちこちで偏見にもとづいた取材を試みるんだ」というのがその主張です。言い分はもっともです。

宗教の自由が保障されている世界において、初めから偏見と曲がった仮説にもとづいた取材を行ったとすれば、それは記者として失格と言わざるを得ないと思います。

2つの側のビデオを見ると、何が真実なのか、よくわからなくなってきます。
私のポイントは、BBCやScientologyが良い/悪いということではありません。

情報ソースの限られる一般人が、2つの相反する視点に同時に触れることができる、というのは非常にフェアな社会だと思うのです。そういう、情報社会は健全だと思います。