昨日のことですが、アメリカで全米展開しているニューヨーク式デリのフランチャイズ店を日本で展開したい、という日系アメリカ人K氏と会いました。

K氏は、アメリカ企業の日本進出を手助けする私の友人S氏の会社にコンタクトをとり、日本進出のための資金調達をしたい、資金調達ができた際には報酬を分ける、という条件を出してきたのです。その報酬の金額が非常に大きいため、我々ははじめから不信感を持っていましたが、とりあえず会ってみることにしました。

彼がLAを拠点にしているため、S氏の友人である私が、彼の代理人となって、今回K氏と話をしてきました。

彼がミーティング場所に指定してきたのは、TorranceのHawthorne Ave沿いのHilton Hotelの喫茶店。

彼は、これに先立って、フランチャイズの資料を多数送ってきていました。
私は目を通していましたが、デリという形態が日本で売れるのかどうか、極めて疑わしいと思っていました。また、不信感はフランチャイズに対してだけではなく、このK氏という人物に対しても向けられていました。資金調達をするには、まずお金を集める人間に、相当の信用がなければなりません。

K氏と会って、話を一通り聞き、私は質問をしました。

「なぜ、日本人はMcDonaldではなく、Subwayでもなく、このデリに足を運ばなければならないのか」「このデリが他のレストランと異なり、際立って優秀な点は何なのか」「日本人に訴えかけるようなマーケティングのメッセージを、簡潔に1、2文で表現することはできるのか」等々、ごく基本的なマーケティング上の質問を行ったのですが、得られた返事は「それは、日本で優秀なパートナーを見つけることで解決する」「お前の会社にそこら辺のところを考えてもらいたい。お前はどう思う?」などといわれ、段々あきれて、笑いがこぼれてしまいました。

何かを立ち上げて、広めようとする人物が、インスピレーションも何もなく、他人のふんどしに乗っかってお金だけ得ようとするのは言語道断です。
この資金調達の報酬は極めて大きく、魅力的なものでしたが、情熱や理念がなく、お金を集めるだけの話に聞こえてきました。

こういう話には、絶対に手をつけてはならない、というのがビジネス界の普遍の真理だと思います。丁重に(しかしどちらかというとobnoxiousに)断り、ホテルを後にしました。