パソコンをなくしてから一ヶ月半くらい経った頃、手紙が送られてきました。
それは、TSAからでした。

手紙によると、デルタ航空の空港職員数人が逮捕された、とのこと。
容疑は、乗客の荷物を窃盗したこと、と書かれています。
警察が押し入った容疑者のアジトからは、多くの機械類が押収されたそうです。

数日後、私のオフィスにNYPDから電話がかかってきました。

「被害届けを出した方々に連絡をしている。今、押収した機械等と被害届けを見ながら、あなたの届け出たモノがあるかどうかを確認している」


私は、一連の出来事から、「これで無くしたモノが返ってくる」とすっかり安心してしまいましたが、事はそう甘くはありませんでした。

数週間後に、連絡がないのでNYPDの担当者に連絡をすると、「あなたの届け出た物品と一致するものはなかった」と言います。

結局その後、私の元にパソコンやカメラが戻ってくることはありませんでした。
特に大事な情報が入っていなかったのは不幸中の幸いでしたが、それでもけっこうな額の損失になります。

航空会社に連絡しても、またしても事務的に「フォームがウェブサイトにあるから、記入してくれ」と言われるだけです。「そっちの職員が、盗みをはたらいたんだぞ。何か、会社としての措置はないのか」と言っても、「私はただのオペレーターだから。フォームを記入してくれ」というばかりで、全く話になりません。



紛失した機械類については、航空会社はその損失を乗客に払わなくても良いことになっているそうです。
だから、航空会社としては、乗客のために、なくした機械類を一生懸命探してあげるインセンティブが全くないのです。コストがかかるだけです。
TSAにも「探したけど見つかりませんでした」のようなことを言われれば、こちらはプッシュのしようもありません。


その後、地元の新聞記事を読んだのですが、荷物の紛失が、近年増加しているとのこと。しかも、紛失総数で一番多いのは、デルタ航空だそうです。

紛失が増えている背景には、航空会社がコストを下げるため、職員の質が落ちている、というようなことが書かれていました。

その紛失の中に、どれだけ犯罪が含まれているのだろうと思います。
多くの犯罪者が、職員としてまんまと空港内部に潜入して、今でも多くの物品が盗んでいるのではないかと、私は思います。

こういう犯罪は、本当に許せませんが、航空会社の態度も許しがたいです。
クラスアクションが起きたら、ぜひ参加したいです。



しかし、振り返ってみると、「貴重品は手元に持っておく」という、基本中の基本を、私が守らなかったことも事実です。私としては、こういう現実があることを受け止めて行動を改め、今後の被害を予防するのみです。


これを読んでいる人は、どうか気をつけてください。