LAX空港に着いた私は、そのまま荷物の受け取り場で待ちました。

20分くらい経った頃でしょうか、ようやく私の荷物がコンベアーに運ばれて出てきました。

事務所のボスが迎えに来てくれていたので、早速車に乗り込み、そのまま予約していたホテルへ向かいました。

ホテルに着いた後、「これからけっこういいモノ食べにいくぞ」とボスが言うので、Yシャツくらいは着ていこうと、荷物を開けたとき、異変に気づきました。

ノートパソコンが、なくなっていたのです。

パソコンの電源もありません。

よくよく探してみると、デジタルカメラもなくなっています。



頭の血が一気に引いたような感覚に襲われながら、私はバッグをひっくり返しました。しかし、何も出てきませんでした。

呆然としていると、いつまで経っても出てこない私を心配して、ボスが部屋にやってきました。

「どうしたんだ」
「パソコンがなくなってる…空港の人間にとられたに違いない」
「航空会社に電話をした方がいい」

私は早速、航空会社に電話をしました。
航空会社は、"Lost Baggage"に対応するための部門を持っていました。
私は、どんなモノをなくしたのかを、彼らに説明しましたが、何となく事務的に処理されたように感じました。

最後にパソコンを見たのは、JFK空港ですから、あの時セキュリティエリアで荷物を渡してから、LAX空港のコンベアーで荷物が出てくるまでの間に、TSAか航空会社の職員が抜き取ったに違いありません。

しかし、この時点では、それが犯罪であるかどうかについては、自信を持てませんでした。
「ひょっとして、安全のために、機械類は全部抜き取っておくのかな?」と思いました。


私は、ニューヨークで、バッテリーパークのフェリーに乗ったとき、ノートパソコンを起動させられて、爆弾ではないことを確かめられたことを思い出しました。

「もしかしたら、JFK空港に戻れば、誰かが預かっているのかもしれない」

そんな希望と、一抹の不安を抱えながら、ロサンゼルスでの4日を過ごしました。