"United 93"という映画を見ました。

この映画は、2001年9月11日に起きた同時多発テロで、乗客のテロリストに対する反撃によって唯一攻撃に失敗し、ペンシルバニア州の林に墜落した飛行機の物語です。

この便は、当初ホワイトハウスを狙っていたらしいのですが、タイミングが他の便に比べて遅れたため、乗客が地上にいる人たちと連絡をとり、反撃を行った結果、墜落するに至ったのです。


この映画で特筆すべきなのは、実際に起きたことを、忠実に再現しようという姿勢が見られたことです。

私は、あの911のテロが起きた時、このUA93便のストーリーを聞いて感動したのを覚えています。ハイジャックという過酷な状況の中で、勇気を持って反撃した人たちが、かっこよく思えました。

したがって、私は、この映画を見る前、感動で涙が止まらなくなるのではないかと期待いました。

しかし、その期待は軽く裏切られました。待っていたのは、圧倒的な「現実」の重みでした。

実際には、完全な混乱の中で顔がひきつっていたり、泣いていたり、絶望していたり、目もあてられない彼らの姿を目の当たりにすることになったのです。それは、私の思い描いていたヒーロー像とは異なる、極めて現実的な人間の描写でした。

最後のテロリスト達に対する反撃も、新聞で伝えられてきた「自分の命を顧みず勇敢に国の首都を守ろうとした行為」というよりは、どちらかというと「絶望的な状況の中での、生存本能」という風に見えました。それはリアリティにあふれるものでした。

映画には効果音やBGMはありましたが、場を盛り上げるためのストーリー描写も伏線もなく、起きた出来事を時系列に、淡々と映し出しているように見えました。

この映画を見る人は、実際にあの日を何らかの形で体験しているので、登場する役者の演技がオーバーでないことは、わかるのではないかと思います。


どうも、監督はこの映画を後世に残るドキュメンタリーとして残したかったようです。映画監督としての過度な解釈はせず、起きたことを、なるべく正確に伝えようと、したらしいのです。

Universalの映画でありながら、こういう形態で撮られた映画も、なかなか珍しいと思いました。将来も、度々見直される映画となることでしょう。