この研修では非常に大事なことを学びました。

日本人以外の外国人は、全くミスを恐れていないのです。
文法的なミスを明らかにしていても、かまわずしゃべり続けます。
日本人は繊細なのと、減点主義の教育を受けているから、この図太さがないんですよね。

昨日、NBCで、オリンピックフィギュアスケートロシア女子代表のIrina Slutskaya選手がインタビューを受けているのを見ました。
彼女は、ロシア人なので、英語が母国語ではありませんが、ニコニコしながら、アメリカ人レポーターと以下のようなやりとりをしていました。

Reporter: "What did you say to your mom?" (お母さんには何と言ったんですか?)
Irina: "Just talked with her, that's all"(話しただけよ、それだけ)

まず、質問に答えていない(笑)。
でも、楽しそうに、軽く答えているので、「あんまり、何も重要なことは話してない」ということが雰囲気として感じられます。


R: "What did she say to you?" (お母さんは何と言ったんですか?)
I: "Mmm... not really, not too much" (いや別に。そんなに話してないわ)

これも、受け答えは文法的に変ですが、楽しそうに答えてます。意味はわかります。

R: "Did she watch the competition?" (お母さんは、演技を見ましたか?)
I: "I don't think" (思わない)

"I don't think SO"ならスッと意味が通るのですが、"so"がありません。。
何を思わないのか、イマイチ具体的ではありませんが、見ていないと思う、ということでしょうか。
まぁなんとなくわかるではありませんか。

R: "Well, how difficult was it to skate last knowing what had happened to Cohen and knowing what everyone else had done?" (コーエン選手に起こったことや、他の選手の演技を知った後で、最後にすべるのは、どれだけ大変なことでしたか?)
I: "I doesn't know what they did" (彼女らの演技は見ていない)

ハッキリと、でもにこやかに"I DOESN'T know"と答えてます。

堂々とした間違いですが、ここで、彼女の間違いを笑っちゃいけないんですね。
実際に話してみないと、外国人が英語を文法どおり話すのが、いかに難しいかというのは、わからないものです。

間違っても、通じるものは通じるし、それをバカにする人はいません。
だから、本来は、間違え得なんです。たくさん間違えないと、自分の癖がわかりません。
時間をかけてたくさん練習をしてないと、間違える経験さえできない。
間違いを恐れて普段から積極的に話をしないのに、いざという時に完璧にしゃべろうとするから、全くしゃべれずに自信をなくす、ということが起きてきます。

言葉のつなぎが不完全でも、表情豊かに話したり、抑揚をつけたりすることで、意味を通すことはできるんです。私が、研修に行って体験した出来事というのは、まさにこのようなことでした。
インド人も、マレーシア人も、イタリアの人たちも、発している言葉は不完全だけれども、何とか、意味を通して、他の国の人と会話をしていたのです。

これは、私にとっては大変勇気を与えてくれる出来事でした。英語学習の一番の障害は、自分の「間違いに対する恐怖心」であると気づいたからです。日本に帰ったら、たくさん間違えるようにするぞ、と一人誓ったのでした。



それにしても、いつもニコニコしているIrinaさんは、友達にすると楽しそうな感じの方ですね。
そこら辺を歩いていても、フィギュアスケートチャンピオンという感じがしないと思います。
個人的には、あの手作りっぽいロシアのジャージが好きです。