真の、結果を出すコンサルタントとは何か、ウンウン悩みながら、仕事をしていたのですが、一回だけ、それを垣間見た貴重なプロジェクトに居合わせたことがあります。

そのプロジェクトでは、自社のコンサルタントだけではなく、ある分野の専門アドバイザーが、関わっていました。驚いたことに、その専門アドバイザーの提案は、戦略レベルのあるべき姿を語りながら、一部分においては極めて具体的。その通りに実行すると、本当に効果が上がるシナリオが立てられていたのです。
「本当に効果が上がることがイメージできる提案」というのは多いようで、少ない。だから、私は衝撃を受けたのです。

彼の作った提案書を見たとき、私はそれまでに味わったことのない感覚に襲われ、まさに「震撼」したのです。詳細をここでお伝えできないのが本当に残念です。

彼の提案書と、自分がそれまで書いてきた提案書の違い。
それは、「真実は細部に宿る」ということ。
細部をわかっている人間が作る提案書は、すぐに実行できて、すぐに効果が出ます。

そして、細部を語るためには、現場をわかっていなければならない。

事業が動いて、実際に最後の利益を出すまでには、いろいろなプロセスを踏みます。
そのプロセスは、うまく行っているように見えて、実際には利益が出ていない。

でも、その原因は、ほんの些細な、1つのプロセスの、現場の1動作に隠れていたりします。

ホンモノのコンサルタントは、脳に蓄積された膨大な過去の事例集から、その1動作を、瞬時に見抜けます。これに対し、凡庸なコンサルタントは、用意されたフレームワークと過去事例を使って、問題点を何とか説明しようとします。しかし、具体的に何をどうすれば良いか、説明できない。挙句の果てに「システム導入がカギです」といって、自社のシステム開発営業につなげようとすることもあります。

私はこのまま、新卒で採用されたコンサルタントとして、このコンサル道を歩むことに対して危惧を覚えはじめました。
新卒コンサルタントでも、物事を説明することに長けていたり、人間関係をうまく築くことができたり、営業が得意できたりする人はいます。
また、お客さんの頭の中でもやもやしているタスクを明確にしてあげたりと、ある程度、提供できる価値が存在するのは確かです。


でも、私は、具体的な、目に見える結果が見たかったのです。クライアントが、提案を実行することで、サナギが蝶へ変わるような変身をする、その現場を目撃したかったから、コンサルティング会社に入ったのです。
しかし、現場を知らない、細部を理解できない自分が、どのようにすればそんな具体的な提案ができるようになるのか、見当もつきませんでした。

もっとコンサル経験を積めば見えてくるかもしれないし、そうでないかもしれない。

そもそも、現場を経験せずに、本当にその人の提案で会社の利益の額が変わるほどのインパクトを与えられるコンサルタント本当にがいるかどうか、私には正直疑問でした。

もしかしたら、そんな人もいたのかもしれませんが、私は、みつけることができませんでした。

悩んで、考えた結論は一つ、とりあえず泥にまみれなくてはならない、ということ。
何でもいいから、コンサルタントを離れて、どこかの現場で揉まれようと、そのときに決意をしました。

それが、今の起業という体験につながっているのですが、起業して、自分一人でお客様を集め、自分一人でお客様にサービスを提供すると、細部への気遣いがいかに大切かがわかるようになりました。

細部の話は、また書きたいと思います。