弁護士の、我々に対する質問は、さらに続きます。

「この中で、警察官の言うことが、ほとんど信用できるとはいえない、という人はいますか?」

またまた回りくどい聞き方ですが、日本語にすると、こんな感じです。
要するに、陪審員候補が、警察官の言うことをどれだけ信用しているかを、質問しているのです。

私は、以前警察官にはひどい目に遭ったことがあるので、完全に警察官を信頼しているわけではありませんでしたが、なぜか手をあげる気になりませんでした。

この質問には、一人女性が手を挙げ、「警察官だからって、信用できるとは限らない」と意見を述べていました。

原告側弁護士は、その後いくつかの質問を行い、席につきました。

さて、次は、被告側の弁護士です。
被告側の弁護士は、体格が良く、背も高くて威圧感がありました。

彼は、立ち上がると、陪審員候補に向かって、熱く語り始めました。「皆さん!本日は、わざわざこの市民としての義務を果たしに来られ、大変ご苦労様です!私は被告側の弁護人をつとめさせていただいております」

「早速質問ですが、皆さんの中に、被告がもし喫煙者であるという科学的根拠がなければ、無罪になるということに、賛同しない方はいますか?」

いつも、弁護士の語り口調は、こんな感じです…。つい最近、コールドリーディングについて書かれた本が売れていましたが、それに似たものがあります。つまり、一瞬、質問された方は、否定がしにくいんです。

その前に、わかりにくいのですが。

この質問は、つまり、「タバコ吸ったって、言ってるけど、計測器で調べてもいないのにどうしてわかるの?科学的根拠がなければ、無罪だよね?」と、聞いてるのと同じです。

ただ、こうやって質問してしまうと、陪審員候補としては、手を挙げるという「作業」が発生してしまうから、賛成者が、少なくなってしまうんでしょうね。