私がある話をすると、「そうか、だからお前は英語が得意なんだ」といわれます。

私は、アメリカ生まれなんです。

これを言うと、ほぼ全ての人が、自動的に「アメリカ生まれ=英語ペラペラ」と連想するのですが、そんなことはないんです。

私は、小学校2年生の時に、日本へ引っ越しました。それまでは英語を現地の学校でしゃべっていたのですが、日本に来てしばらく経ち、全て忘れてしまったのです。

よく、このことを話すと、「小さいことに覚えたことは忘れないよ」とか、「どこかに英語が頭の中に残ってるんだよ」とご丁寧に教えて下さる方が何人もいるのですが、それは、ウソです。

小さい頃に覚えた言語は、使わなければ確実に忘れます。
同じことを経験した人を私は何人も見てきました。

言語は、使わなければ、きれいさっぱり、頭の中からなくなるのです。
事実、私も、すぐに話せなくなりました。

子供だから、特に英語を維持しようなんて、考えていなかったですし、そもそもコミュニケーションの手段でしかない言語というものに、トレーニングの必要性を感じていなかったんだとおもいます。

それでも、数年経って、中学校に入って、教科書を見て、愕然としました。
何しろ、昔しゃべっていた言語を全く覚えておらず、教科書に何が書いてあるか全く理解できないのですから。

私は、彼を"he"、彼女を"she"ということさえ知りませんでした。
NHKの"基礎英語"で習った基本単語です。

三単元のsにいたっては、さっぱりしくみがわからず、中1の英語の授業で受けた小テストでは、落第点をとり、周りの人間に、「お前アメリカいたくせに、こんなのもわかんねーのかよ」とバカにされたのを覚えています。

思えば、この同級生の一言が、私を英語学習に駆り立てるきっかけとなったのですが。