Midtown Report

ビジネスと人間に関する発見と考察 from Los Angeles & New York

December 2006

Time誌の"Person of the year"に今年選ばれたのが、"You"。
あまり注目していなかったのですが、今年はなるほどなぁと思わされてしまいました。この企画は、今年最も社会に影響力を与えた、もしくは時代を象徴しているとされる人をTime誌の表紙にとりあげて賞賛するものです。

2004年はBush、昨年はBonoとGates夫妻でした。通常は特定の個人が対象になっていますが、2002年には"Whistleblowers"(勇気を出して社内犯罪を内部告発した人たち)や、2003年には"American Soldier"(イラク戦争での功績をたたえて)など、不特定の集団も選出されることがあります。

そんな中、今年の"Person of the year"は、"You"。
つまり、あなた、ということです。

今年は、Web2.0の世界がインターネット上で一気に広がった一年です。
MySpaceに代表されるSNS(日本であればMixiなど)やBlog、YouTubeをはじめとする動画配信サイトが爆発的に普及し、個人が自由に自分の持つコンテンツを全世界の人を対象に発信するということが可能になっています。

長い歴史の中で見ると、2006年はまさに情報発信の革命がおきた年としてみなされるであろうわけで、今年を代表する人が"You"というのも、実に的を射ています。

私も、今年は1月からBlogを配信していますが、後から振り返れば記念すべき年になるであろうと思われます。年末まで、ちょっと息切れ気味ですが、最後まで書ければと思います。

日本は恥によって支配されている国だといいますが、本当にそれを感じることがあります。「恥をかきたくないから」「顔が立たないから」という理由で、人がある行動に駆り立てられる、ということがよく起こるように感じます。

それを感じたのは、渋谷で郵便局へ行ったとき。
以前、日本にいた頃、郵便局の人たちはフレンドリーじゃないな、と思ってそのサービスレベルに不満を抱いていました。しかし、それは日本にいた頃の基準ですから、今は違います。
今回、郵便局で小包を送ったのですが、その手際の良さに驚愕してしまいました。

私の小包を早くこなしても、遅くこなしても、彼の給料は変わらないはずです。
それなのに、最大限のスピードでその小包を処理する姿に感動すら覚えました。

これが、ニューヨークだと例外なく違う状況になります。
まず、郵便局に勤めている人たちはほとんど90%以上は常に怒っているようにみえます(私の経験では本当にそうなんです)。そして、仕事は確信犯的にノロノロ、目の前の客を無視して隣の局員と話をしはじめるのは日常茶飯事です。

たしかに、わがままな客も多いでしょうし、それなりにストレスのある仕事だとは思いますが、少なくともお金をもらっている仕事に対して、ほとんどの郵便局員があそこまでネガティブな姿勢で臨んでいるのを見ると、何とかならないものかとおもってしまいます。

しかし、同じような職種なのに、この違いはどこから来るんだろうなというと、それは恥によって支配されているか否か、という気がします。
決して仕事を楽しんでいるわけではないものの、ダラダラすることによって、無能と思われたくない、仕事をしていないと思われたくない、というモチベーションが常にあるような気がしてなりません。

そういった意識が日本人のほとんどに共有されているとすれば、考えてみると本当に日本は効率的な社会なんだな、というふうに思ってしまいます。

TIME HACKS!


仕事のパフォーマンス向上を常に目指している自分としては、他の人がどういったことを行っているか非常に興味があります。小山氏の前著"Idea Hacks!"は恥ずかしながら読んだことはありませんが、この本を読んでファンになりました。

時間管理については方法論しか語っていない本や、型は完璧だが、現実的には無理なのではないかと思われる本がある中で、小山氏の本は、しっかりと実践した内容にもとづいて、具体的にうまくいっている方法のみを語っています。

そういう意味では、非常に好感が持てます。

そして、Google Calender、Docs & Spreadsheetを活用するなど、すでに私が利用しているサービスなどを積極利用しているようで、親近感をもってしまいました。
まだまだ、他の人のプラクティスを参考にしなければなりませんね。

100%の内容が、役に立つというわけではありませんが、現在の自分の仕事の型を発展させる上で、大変有益なアイデアがいくつもあり、とても役に立ちました。

お勧めの一冊です。

社員に社長が贈り続けた社員への手紙―フードビジネスの革命児が書いた人生に勇気が湧くメッセージ


ワタミフーズの社長・渡邉美樹氏の本です。
大学の時、和民が駅前にあって何回も利用しましたが、いつも盛況であったと記憶しています。
料理はおいしいし、店内は活気にあふれていますて、他の居酒屋チェーンとは明らかに異なるその繁盛ぶりに昔は「何でだろうな」と思っていました。
しかし、そこには理由があったんですね。創業者である渡邉氏が、現場の社員やアルバイトスタッフとコミュニケーションをとっていて、おもてなしの精神を透徹させているからこそ、どの和民に行っても同じように高いレベルのサービスが受けられるわけです。

この本では、渡邉社長が、問題が起こった時などに社員に対して送ったメッセージがつづられています。社内で起こった問題をとりあげ、それに対して会社全体がどうあるべきなのかを熱く訴えかけています。
起こった出来事なども驚くほどオープンにその内容を公開しており、負の部分に臆することなく正面から立ち向かう経営者の姿がうかがえます。
読むと力が沸いてくる本です。

2年ぶりの日本に降り立ち、電車に乗ってみるとそのキレイさに唖然としました。
プラットフォームにはチリ一つないし、線路の上に泥もたまっていなければ、ネズミも走っていない…。

東横線に乗ってみると、7人がずらりと席に座ってその一人一人が携帯電話をいじっています。携帯電話がかっこいい…画面が大きいし、綺麗です。さすが携帯大国です。

渋谷の街で、人の多い交差点にさしかかりました。
信号は赤だったのですが、「何のためらいもなく」横断歩道を渡っている自分に気づきました。他の数十人は、ほとんど信号の前でとまっていました。
New York Cityでは「青信号=進め」「赤信号=進め、ただし車に注意」なのです(適当に言ってます)。

海外に行った人は、誰でも思うことなのでしょうが、日本社会の成熟度には驚愕させられます。

当たり前のことだと言われるかもしれませんが、百貨店などのトイレに行っても水は流してあるし、大抵の場合ゴミも散乱せず綺麗にされています。おそらく現状に不満を持っている日本人もたくさんいると思いますが、それはかなり高い次元での不満だと思うのです。

目の前に現れるモノにいちいち驚きながら、家路につきました。

以前Skypeを使っているということを書きましたが、最近"skype in" numberを取得しました。
これは、実際の電話番号を共に取得することで、かかってきた電話を全てSkypeに転送するというものです。
もし、その時オンラインで、Skypeにログインしている場合、そのSkypeに電話がかかってきます。イヤホンとマイクを接続していれば、その場で電話に応じることができます。

私は、カリフォルニアのTorrance地区のエリアコード310と日本の電話番号050の局番で一つずつ番号を取得しました。

私がビジネスの本拠を置いているマンハッタンの番号はエリアコードが"212"、"917"、"646"です。したがって業者を探していて、電話番号が212などのエリアコードであった場合には「あ、近くの業者だ」と思考が働いているように思います。

逆に電話をかける先のエリアコードが遠くの地域であれば、近くの業者よりも距離感を感じてしまいます。その場合には、たとえビジネスが電話のやりとりだけであったとしても、少し遠くに感じてしまうのではないかと思います。

したがって、カリフォルニアのお客様を相手にする上で、この番号を持っていることが、非常に有益になるのではないかと思います。

16日からは日本に滞在するので、お客様は地元にかけたと思っていたものが、実際には東京でパソコンに向かっている私としゃべる、ということになりそうです…。

高校の時に起きたブレークスルーです。
高校に入学した頃、担任の先生が、最初の面談でいきなり「福士は○○大を目指しなさい」と面を向かっていったのです。

私は、○○大という大学が存在することは知っていましたが、雲の上の存在でした。
自分のその時の学力では到底達することのできない目標です。
しかし、先生は、「今からしっかり勉強すれば、必ず合格できる」と正面から言い切ります。

その時の学年での順序から考えれば、どちらかというと無謀な目標であったために拍子抜けしましたが、先生があまりにも自分という人間を信じきっている様子で、それを見ていると、「待てよ。ひょっとしたら、本当に自分にも可能なのかもしれない」と思ったのです。

その時に、頭の中で自分が勝手に作り上げていた制約条件が全てなくなって、その無限の可能性だけが未来に開けてきました。その時のワクワク感といったら忘れられません。

結局、その大学を目指すことはなかったものの、学業の面では当初の自分では考えられなかった結果を残し、自分では納得できる結果を残すことができました。それはそもそも、自分でも気づいていなかったとんでもない可能性を見て、信じてくれた先生がいたからに他なりません。
先生の口グセは、「望まなければ得られない」。望んだ瞬間から、願望は向こうからやってくる、まさに"law of attraction"です。

この経験のおかげで「できない理由」を考える前に「できる可能性」を考えるクセができたように思います。

現在、自分は先生と言う立場ではありませんが、この先生が自分の人生に与えたインパクトを考えると、自分も他の人にとってそういった希望を与える立場になれるのではないかと思いました。

人を見るときに自分の過去の経験をたぐって「この人はたぶんこういうタイプだ。どうせこの人には○○できない」と、自動的に頭の中で判断することがあります。ところが、そんなことはまやかしである場合が多いものです。
現在は、「この人は○○の可能性もあるし、××の可能性もあるな」という見方しています。

千円札は拾うな。


これは、株式会社ワイキューブの安田佳生社長の本です。
千円札は拾うな、というのは「捨てることを覚えろ」ということの暗喩的な表現となっています。

今ではすばらしい企業を作りあげていらっしゃいますが、安田氏の起業の頃を話を読んでいると、非常に破天荒な印象を受けます。
資本金のほとんどを使って輸入した時計が壊れて使い物にならなくなったとか、何千万円も投資したフリーペーパーが、ほとんど広告とれずに終わったとか、ハタから聞いていると「この人は大丈夫か?」というような失敗をしています。

しかし、そういったことを聞くことによって、彼が現在言っていることが現場の実践の積み重ねの中でのたゆまぬ努力から生まれたものであることが理解できるわけです。

100億円を売り上げるためには、現在売り上げている40億円を捨てろと言っています。
その勇気があるかどうかが、経営者としての才覚であると断言しているのです。

私にはまだわかりませんが、この意味するところがわかることが将来あるのかもしれません。

The Secret

世の中で偉業を成し遂げた人たちが、どのようにしてそれを成し遂げたのか。
経済的な成功はどのようにして得られるのか。
歴史的に、それには、ある「秘密」があるというのがこの映画での主張です。

その秘密とは、"laws of attraction"。
「ひきつけの法則」とでも訳せば良いのでしょうか。

この映画での主張は、簡単にいうと、「思っていることが、そのまま人生で起こる」ということです。
ここまでいろいろな人が出てきて、同じことを言い続けているのを見ると、「そんなものなのかな」とも思ってしまいます。「思っていることがそのまま起こる」と言っても、単に願い事を唱えれば、それが何でも起きるということではありません。

心の底から、願望を強く持っていると、全ての思考や行動がそれにもとづいて動き出し、願いごとが向こうの方から自然とやってくるというのです。逆に、ネガティブな感情を持ち続けている人(怒り、嫉妬、憎しみ)は、そのような感情を呼び起こすようなことが次から次へとやってくるといいます。

たとえば、1億円ほしい、という人がいたとすると、多くの人は笑いものにするかもしれません。
しかし、本当に1億円をほしいと思っている人は、思考の全てが「1億円を手に入れる」という結果を達成するためにアンテナを張るようになります。そうすると、そのアンテナが、1億円をもたらしてくれるような情報や、人を何気ない日常の中からキャッチしてきて、いつしか本当に1億円を得るための具体的な行動をとるようになります。
願望を強烈に持っているだけで、段々とその対象が「ひきつけられてくる」、それが、"law of attraction"です。

心に迷いがあるとダメで、あたかも欲しいものが「すでに手に入っているような状態」であることが重要だということ、また現在持っているものに対して感謝をし、それだけで100%満たされることが大事だということに、なるほどなぁと感心させられました。

経営者や、成功した人の本などを読むと、確かに例外なく皆似たようなことを言っています。これは、アメリカ、日本など、国を問いません。
作りは若干チープな部分がありますが、わりと面白いです。

今日の一旗会のテーマは、パートナーシップと資本政策。
起業時に気をつけるべき協力関係の築き方の話です。

結果的には、非常に盛り上がりました。
このテーマは、やはり多くの人にとって、非常に切実なようです。

日米両国で多くの有名商業スペースデザインを手がけるS氏は、「自分がビジネスをやっていて、学んだのは、『人は裏切る』ということ」、「『うまい話』と『いい話』は違う」、「何でも利害に関することは、あらかじめ書面に残しておくことが必要」とおっしゃっていました。

やはり、実際のビジネス現場で大きな成果を残されている方の語録なので、説得力があります。

その他の方々も、決まって言うことは、「お金のことは、全て書面で」ということ。
最初になあなあで利益の取り分などを口約束で取り決めると、必ず後で揉め事になる、ということです。

そこで思ったのは、確かに書面で行うことは極めて重要なのですが、本当は口約束で物事がスイスイ進み、その約束が守られる方が、効率が良いといえば良いのです。

日本社会では、アメリカほどしつこく書面での契約ということを重視していないと思いますが、これはある意味すごいことです。相手に対する絶対的な信頼がなければそういうことはできないわけで、そういう信頼の上で行う作業というのは、効果の高いものとなるはずですから。

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