Midtown Report

ビジネスと人間に関する発見と考察 from Los Angeles & New York

November 2006

本日のリーダーシップ研修では、あるアメリカ人の営業マンが、自分の営業スタイルについて悩んでいる人が、話をシェアしていました。

その男の人は、自分の商売において、他人にモノを売るときに、後ろめたい気持ちになってしまうそうです。自分が稼いでしまうことに対して後ろめたい思いがあると言います(アメリカ人でもこういう人はいるんですね)。それで、売るときにどうしても「売り込むつもりはないんだけど」と言ってしまう。

しかし、私は、営業マンはそんなことを言う必要はないと思います。

「売り込む・売り込まない」という軸を持っているから、そういう発言が出てしまいます。「売り込むつもりはない」という瞬間に、「売り込んでいるのか、いないのか」「それが、いいのか、悪いのか」という価値判断基準を自動的に持ってきてしまいます。そうすると、本来重要な判断基準である、「お客様にとってその商品は価格分の価値があるのか・ないのか」ということに、話の軸が集中しないと思うんです。

お客様にとって、本来大事なのは、「いくら払って、どのくらい戻ってくるのか」ということだけです。純粋に、そのことにフォーカスすることがお客様のためであり、それ以外のことに関しては、言葉を使わない、ということが重要だと思います。

ロングアイランドに住んでいた頃、テレビのinformercialを見ていたんです。そうすると、エクササイズビデオの宣伝をやっています。家で筋力トレーニングをしたかった私は、ゴムバンドを使ったエクササイズに興味を持ち、その商品を購入しました。

しかし、ビジネスとしてDVDとゴムバンドを30ドルあまりで販売するだけで、そんなに利益になるのかなぁと、他人事ながら、心配をしていました。

商品が到着すると、使用の手引きみたいなものが書いてあります。

そして、そこには「効果を最大限にするために」という箇所があって、お医者さんが運動前と後に○○や××といった栄養素をとると良い、などと解説しています。

もちろん、ビデオを買ってやる気が満々ですから、「せっかくだから効果を最大化させたい」と思いますよね。

なので、その栄養素をとりたいと思うわけですが、おあつらえ向きにビタミン剤のカタログがきちんと入っています。そして、今なら1個セットが無料でついてくると…そこで、私はハッと気づきました。

これは、DVDの販売会社であると同時に、ビタミン剤の会社なんだと!

ビタミン剤や健康食品と言うのは、非常に利益率の高い商品です。

プロセスとしては、こうです。
DVDを買った人が、ビタミン剤を買います。DVDの販売は一回きりですが、ビタミン剤は消費財です。使ったらなくなるので、「月々○個プラン」等に申し込むことになります。そうすると、販売側には継続的に売上が入ってくることになります。

こういう商売の組み立て方は、とても上手だなぁと思います。

「実はビタミン剤の会社だった!」と言っても、別に消費者をだましているわけではありません。ビタミン剤は、買っても買わなくても良いのです。「健康の増進」というテーマをもとに、消費者に購買ステップを用意してあげて、機会を与えているだけなのです。消費者は、自分の興味レベルに応じて立ち止まったり、前に進んだりすることができます。売り込みがなく、消費者は自分のほしいものを手にすることができます。売る側は、売り込みをする必要なく、自然な流れで様々な商品を提案し、売上をあげることができます。

「ビジネスモデル」はアートだと思います。
人にひたすら迷惑をかけ続けながら売り込みを行い、少ない成約率でも、営業マンに檄をとばしながら売上を上げる、そんな商売もありです。でも、美しくないんです。

売る側もハッピー、買う側もハッピー、総じて社会もハッピー、そういったビジネスモデルを見るのは非常にうれしいです。個人金融の世界は、売り込みが非常に多い世界です。お客様がご自分の選択で、必要なものを買っていく、自分のビジネスに関しても、そういった設計が実現できるように努力しています。

ドキュメンタリータッチのコメディ映画です。カザフスタン人のテレビレポーターが、アメリカに行ってそこでの「文化的体験」を祖国のためにレポートする、と言う内容です。

内容はメチャクチャです。Antisemitic(反ユダヤ的)な描写がのっけから出てきて、映画館は、引いてしまいました。ニューヨークは、ユダヤ系の人口が非常に多い都市ですし、ニューヨーカーは、一般的に露骨な人種差別に気を遣うこともあって、場内は微妙な雰囲気に包まれてしまいました。

しかし、このレポーターが、祖国の、というより自分自身の常識を持ち込んでアメリカ人と接するために、食い違いがいろいろ表れます。そのおとぼけぶりが受けるのですが、あまりにやり方が行き過ぎています。

この映画があまりにヒットして、カザフスタンの生活・風習が実際のものとは異なるために、カザフスタン人は、「これは実際のカザフスタンとは違う!」と起こっているそうです。

唯一感心するのは、このレポーターが、アメリカのことを全然知らないふりをしているわりには、アメリカ人のツボをつく笑いのとり方をどうやらかなり熟知しているようだということです。一件無知そうな人が最も怖い、という例ですね。

たまに、eメールの問い合わせで、「○○を教えてくれませんか?」「Financial Aidの受け取り方と、その申請方法を教えてください」といったような問い合わせがいきなり来ます。

こういう問い合わせには、非常に戸惑ってしまいます。

そもそも、お金を支払って、そういった情報を聞きにいらっしゃる方もいらっしゃいます。現在のお客様にとても不公平になってしまうため、全てを手取り足取り教える理由はありません。

また、「○○する方法を教えてください」と言われても、質問自体が非常に曖昧であるため、「それでは○○して、××してください」などと、いきなりメールで返信できるわけもありません。ほとんどの場合、こういうメールは自己紹介なしに、いきなり質問に入ります。

「もう少し事情を教えていただけますか?」と丁寧に返信をしたつもりでも、95%以上は、二度とコンタクトをとってきません。

そんなことが何回も続くと、「無神経なメールだなぁ。冷やかしなのかなぁ」などと先に考えが立ってしまい、疲弊してきます。

ただ、だからといって、横柄に対応していると、「先に与える」という商売の原則を忘れてしまいそうになります。こちらからまずは無料、もしくは非常に安価な価格で何かを与えて、とりあえずは最初にある程度満足していただく、という姿勢は崩したくありません。

一方、無神経と思えるメールにどう対応すればいいのか苦慮してしまいます。

全ての人を相手にできるわけではないので、ある程度お客様を選ぶ、というのが必要なのでしょうか。難しいところです。

経営者の集まりは、2日目を迎えました。

どこを見渡しても、経営者、経営者…。
数千万円規模から、百億円以上の売上をあげる企業の経営者がそこらじゅうにいます。

どの方とお話をさせていただいても、驚愕するのは、それぞれの方の腰の低さ。
私のような若輩でさえ、1人の人間として接してくださいます。

サラリーマンが集まるような異業種交流会だと、逆に態度の大きい人が多くいたりして、閉口することがあります。
そういう人がいる時に感じる妙な「壁」がなく、誰とお話をしても、皆さん気軽に応えていただいて、丁寧に自己紹介を交わすことができました。


勉強会では、何人かの経営者の経営体験発表を聞きましたが、目頭が熱くなるのを感じました。皆さん、想像を絶する苦労をされていることがわかります。
自分がいかに恵まれているか、自分の苦労がいかに大したことがないかを思い知らされました。

今回は、想像以上に良い体験となりました。
これを生かして、また明日からビジネス道に励みたいと思います。

本日は、52th Stのレストランで、とある経営者の集まりに出席。

ニューヨークで事業を行っている人、日本で事業を行っている人がたくさん集まりました。この会の長をされている方は、とある有名企業の創業者です。

本来、私は若輩であるため、年齢制限により参加ができないと言われたのですが、諸先輩方のお計らいにより、出席をさせていただくことがかないました。
大変ありがたいことです。

ここまでの世代間でお話ができる機会は珍しいです。
このように、多くの方が同じ原則を共有し、確かめあう、というのは非常にパワフルなことです。
いろいろな場所で、いろいろな事業をされている方々と大いに会を盛り上げました。

最後に座長のお言葉。


「みなさん、感謝をしましょう」


日本を代表する企業を作られた方でも、発せられる言葉は実にシンプル。
原則は、身近なところにあるんですね。
本当に、ありがたいお言葉です。

同一区域に住む複数の方から、ある金融業者から詐欺を受けた、という話をお伺いしました。

これに巻き込まれた人は、大変気の毒なことですし、何があってもその業者以外に悪者はいないはずです。しかし、一件正しいことをしているようで、うまい話を持ちかけてくる人はたくさんいて、誰よりも気をつけなければならないのは消費者です。

誰もがわかっていることなのですが、うまい話には、必ず裏があるのです。
実際には多くの人がやりたがらないストレスのある仕事が含まれていたり、実は長期でみるとコストがかかっていたりします。勧めている人も、たいていマンガに出てくるような悪徳セールスマンのような顔はしていないもので、本当に善か悪かは結論できないケースが多いのです。

そこで、振り返らざるを得ないのは、自分が提供している商品についてです。
いくつかの商品の中には、「こんなにうまい話があるのか!」と思ってしまうようなものがあります。商品の説明をしていると、お客様の眉間にしわが寄ってくるようなこともあります。

こういう商品の場合、必ず、どこかで消費者が損している部分、負担を負わなければならない部分というのはあるんですね。
ところが、ある家計の状況によっては、その損の部分をあまり損として認識しないケースがあって、その場合にのみ「その商品はこのケースでは有効」という結論を出せるわけです。

そういったことを、きちんと説明するのは、自分のような知識商売においては最重要と心得ています。

結論としては、自分のよく知らない領域で大金をはたいて儲けようとすると、必ずコケるし、成功したとしてもそれに「再現性」というものがないんです。それを身に沁みて認識すべきだと思います。

目が覚めると、喉に痛みを感じ、熱があることが判明。
ついにダウンしました。

週末は大事な会合があるので、今日は犠牲にしなければなりません。
ヒーターで暑くなった部屋の中で、もこもこのジャケットを着ながらジッとしていると、近くの通りから、パレードが始まっているのが聞こえます。

そういえば、今日はThanks Giving Day…。
昨日大量に作っておいたタイ風のイエローカレーが残っていたので、それを食べながら、昨年のThanks Giving Dayを思い出しました。

確か、昨年の今頃はマンハッタンに住むアメリカ人向けに、夜通し1000通のセミナー通知のダイレクトメールを送るために、封詰めしていたような気がします。「Thanks Giving Dayからのホリデーシーズンは、アメリカ人は逆にヒマなはずだ!」という訳の分からぬセオリーでした。

このDMによる反応は一件…机に頭をつけて呆然としていたような気がします。
がんばっても報われないという当然のことが、当然のように起こっていました。

今は、昨年とは比べ物にならないほど、状況に恵まれています。
こんなおいしいカレーが自宅で食べられるだけでも、本当にありがたいことです。
友人もたくさんいるし、いろいろな人が応援してくれています。
足ることを知らなければ、と思います。

今年も、孤独なThanks Giving Dayではありますが、感謝を述べなければならない人がずっと増えた気がします。

全員にはいえませんが、せめて、この文章を読んでいただいている方に、many thanksです。

好き嫌いで人事


この本は、通常の人事の考え方を超えて優秀な経営者の本音が書かれています。
松井道夫節が炸裂しています。

以下、本からの抜粋

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就職希望者が1000人いたとしよう。そのうち面接まで到達する人はせいぜい数十人である。そのなかからたった数名を選ぶわけであるが、「採用の基準は好き嫌いです」などと言えるはずもない。みな、この就職難のなか、一生懸命に演技する。その弱みにつけこんで、もてあそぶのは、ある意味犯罪である。
だからといって、「応募した理由は?」とか、「君がこれまで一生懸命したことは何?」とか、「君のいちばんの売りは何?」などと聞き、それなりの手続きを踏んだ上で、順番をつけて、選外になった人に、「ご縁がありませんでした」などと白々しく言って断るのも、ずいぶんと罪深い行為である。

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結局、マスコミにいろいろ言われるので公言はしないけれども、縁故・コネ採用大歓迎、企業風土に合うような人を、好き嫌いで選ぶべし、という話が出てきます。一緒に働いている、好きな仲間が推薦した人間の方が、よっぽど確実だ、ということなんですね。

これには、ずいぶんと納得させられます。
以前働いていた事務所でのユダヤ人ボスも、縁故採用を「最重視」していました。
募集しても、ロクな人は来ず、知っている人から紹介された人が最もよく働く、という風にいっていました。

先日、「やりたいこと」を聞くのは無意味だ、というようなことを書いたと思うのですが、極端には「なぜこの仕事をしたいのか?」と聞いた時に「いや、何となく面白そうなので」が理由でも別にかまわないわけです。動機がそれでも、働く人は本当に働きます。

松井社長によるとそういう「なんとなく」という感覚が、けっこう当たっている、ということなのでしょう。その感覚の精度を増すためには、経験を多く積む必要があるのでしょうが…。

最近、うれしかったこと3つ。


その1 ニュースレター会員

私は、これまで無料レポートを請求した人やセミナーに参加した人にニュースレターを送っています。本日、突然ニュースレターを受け取られている方から電話がかかってきて、「住所変更するので、新しいアドレスにレターを送ってくれませんか?」と言われました。こんなこと、と思われるかもしれませんが、ニュースレターが真剣に読まれているかどうかは、配信している側からするとわからないものです。「役に立つ情報がいつも載っているので、ぜひこれからも」と言われ、衝撃と共に喜びに包まれました。ありがとうございます。これからもがんばって書きます。


その2 プレゼント

本日、お客様とそのお子様がオフィスにいらっしゃいました。私は、お子様に対していつもあるプレゼントを郵送しているのですが、本日は初めてお子様に直接そのプレゼントを手渡すことができました。このプレゼントは割と好評で、ご家庭に送るとお礼の電話やメールをいただくことが多いのですが、本日は直接手渡しをする機会に恵まれて、喜んでくださる様子を見て、私も非常に嬉しい気分になりました。


その3 カリフォルニアに行くな

ニュージャージーのお客様と電話をしていると、Financial Aid申請代行サービスをやっているのが私しかいないため「カリフォルニアに行かないでください!」と言われました。カリフォルニア自体には頻繁に行くことになりそうですが(笑)そうおっしゃっていただけるのは大変光栄なことです。ありがとうございます。

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