Midtown Report

ビジネスと人間に関する発見と考察 from Los Angeles & New York

24時間週7日営業、のことではありません。

FOXのドラマ"24"のシーズン7がついにはじまったのです。
昨年いろいろあって、放映が延期されたので、ジャック・バウアーが帰ってくるのは実に1年半ぶりになります。

24は、他の政治ドラマと同じように、その時代の政治背景をプロットにうまく取り入れることでも知られています。

昨年オバマ大統領がアフリカ系として初めて大統領に当選しました。その裏では、24の初期シーズンでDavid Palmer(Dennis Haysbert)が大統領になり、その賢人ぶりが、多くのアメリカ人に「誠実なアフリカ系大統領」のイメージを植えつけ、「アフリカ系大統領の受け入れ体制を作った」いう説もあります。

実際には、視聴率からするとそこまでの影響はなかったんじゃないかと思いますが、人気ドラマでアフリカ系大統領が実現したということは、現実でも国民の準備が整っていたということなのでしょう。

今回のシーズン7が捉えている時事ネタは、「拷問」。

シーズン7が始まった頃、ちょうど前政権のCheney副大統領が、「テロ犯に対する拷問」を認めるような発言をしたことで、物議をかもしていました。具体的には、テロ対策の一環として、必要とされる情報を得るために、収監されているテロ犯に対して、「水責め」を行ったというのです。

新しい司法長官であるEric Holder氏(ちなみにこちらもアフリカ系初)は、上院の公聴会で「水責めは国際法上、れっきとした犯罪である」と言いました。「日本でも(戦時中)水責めを行ったものは、戦犯として処されている」と。

上院の一人がこれに対し、「でも、本当にアメリカ国民が一刻を争う危険に瀕していて、拷問が唯一必要な情報を聞き出す手段だとしたら、水責めをするしかないのではないか?」(この質問自体、24を意識しているのは明らか)と聞くと、Holder氏「水責めだけが、必要情報をとりだす唯一の方法である、という前提条件を私は受け容れることができない」と実に賢い切り替えしをしました。

この公聴会の前後で、メディアでは「拷問は犯罪か?」「拷問は有効な手段か?」ということをよく取り上げていたのですが、総じて「拷問は犯罪」「拷問は、必要な情報を聞き出すために、有効どころか、効率が悪く、間違った情報を得る可能性が高くなる」「拷問よりも、正確な情報を短時間で犯罪者から得る方法はたくさんある」という結論を各専門家が出しています。

そして、オバマ大統領が就任第一日目に行ったことが、グアンタナモ・ベイの閉鎖を宣言する大統領令。高い支持率を持つオバマ大統領が、拷問の横行するこの収容所の閉鎖を宣言したことで、世論は完全に「拷問反対」の風潮となっています。

これは、24というドラマにとって、かなり不利な展開です。24は、拷問なしには考えられないドラマだからです。ジャック・バウアーが拷問できなかったら、いや、もし拷問をしても、視聴者に拷問を認める考え方が失われていたら、ジャックに対する共感も薄れるというものです。

24のシーズン7は、このジレンマを真っ向からとりあげるようです。「拷問の是非」がドラマ開始から、大きなネタとしてとりあげられています。シーズン7の制作時期は1年以上も前だと思いますが、プロデューサー側もこの問題が、前政権のトップを巻き込んだ議論になるとは考えていなかったのではないでしょうか。ドラマにとっては世論が不利に傾きつつも、このこと自体をネタとして取り上げているので、もしまだ撮影しているのであれば、逆に挽回のチャンスがありそうです。

具体的にストーリーがどのように展開していくかに関しては、ファンの方のために、もちろん黙っておくことにします。

中学校の頃、「悪徳商法に気をつけて」とかいうパンフレットを渡され、世の中に存在する悪事の数々とそれを実行しようとする人達に、何ともいえぬ好奇心をひかれた記憶があります。そのパンフレットには、ずるがしこそうな顔をしたオネエサンが、いかがわしい商品を善良な市民に勧めているイラストが描いてありました。「こんなのに騙されるのか。こんな怪しいヤツが自分の目の前に出てきたら、うまいこと言って、やり込めてやろう」と思ったものです。

その後の人生で、「怪しいヤツ」は、現れませんでした。それでも、私はたくさんの人に騙されました。本を注文したら、コピー用紙が送られてきました。証書付きの中古車を買ったら、実は事故車でした。身に覚えの無い会員権の請求をされました。パソコンを預けたら、盗まれました。思えば、全ては自己責任。私が甘かったのです。幾多の経験を経て「詐欺師は、あのパンフレットに載っていた、ずるがしこそうな顔をしていない」ということを学んだわけです。

バーニー・メイドフというヘッジ・ファンド代表が逮捕されました。彼は、500億ドル(約5兆円!!)という、史上最大の詐欺をはたらいたのです。元NASDACの理事長という肩書きを引っ提げ、大富豪からお金をを集めたわけですが、ほとんど全てが露と消えました。彼の顧客も、「まさかメイドフが」と驚きを隠せなかったようです。

これを見て、「やっぱり詐欺師は詐欺師の顔をしてないな」とまた自説の確信をしていたのですが、それを覆す例があるのも事実です。近頃日本で逮捕されたL&G元会長の波会長、少し前に話題をさらったワールドオーシャンズファームの黒岩会長を見ると、大変失礼ですが「どう見ても怪しいだろ!」とツッコミたくなる顔をしています。それでも、多くの人が騙されてしまうのは、彼らがそんな怪しさを克服する「信用の演出」を、いろいろな手段で用意していたからなのでしょう。

これらの犯罪でどういう手法がとられているかというと、全て”Ponzi Scheme”が使われています。”Ponzi Scheme”というのは、出資者に対するリターンを、新たな出資者からのお金で捻出する、というもので、ねずみ講と似たようなものです。この手法では、全ての人に返すお金がそもそもないので、いずれ資金が尽き、例外なく破綻します。アメリカや日本の政府の年金システムは、”Ponzi Scheme”なのではないかという話もあります。もともとの年金の設計上、若い人からの税金で、退職した人にお金を支給するシステムなのですから、高齢化社会が進行すれば、給付を減らさない限り、破綻するのは当然です。

“Ponzi Scheme”のような、小学生でもわかりそうな古典的な詐欺手法が、プレゼンテーションを変えることによって、今でも通用してしまうのは驚きです。詐欺師はScam Artistと言いますが、ある意味本当に芸術家です。こういう例をたくさん見ると、段々騙されない自信がなくなってきます。

人と接する際に、疑いばかりから入るのは、個人的にはやりたくないことです。だから、自分が時々騙されてしまうのは、ある程度仕方のないことだと今では思っています。少なくとも、自分のビジネスでは、お金をお支払いいただいているお客様の期待は超えるように、そしてお客様の期待と現実の結果が異なってしまった場合にも、逃げずに誠意を持って対応しよう、ということを改めて肝に銘じたのでした。

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電光ボードを眺めていると、"curious case"という文字が目に入りました。

最近、映画を全くチェックしておらず、何が面白いのか見当もつけずに映画館に来てしまいました。で、飛び込んできた文字が、"curious case"。
聞いたことのない映画の名前が並んでいる中で、この名前だけが、唯一記憶に引っかかっていたのです。

早速、iPhoneでこの映画を調べてみると、正式名称は"The curious case of Benjamin Button"。邦題は、「ベンジャミン・バトン - 数奇な人生」。電光掲示板は、文字数の制限があるから、"curious case"と出ていたんでしょう。

ああ、例のブラッド・ピットの映画か。
「段々、若返っていく男の数奇な人生を描く」というヤツ。

「段々若返る」という設定を思い出した時点で、興味レベルはほぼゼロ。なぜなら、そんな男の数奇な話は、ありえないからです。そういう、設定に無理があるものは、好きじゃないんです。

いや、でも評判は、すごく高かったな。ひょっとして面白いのかな。
そう思い、さらに情報を調べてみると、"David Fincher"の文字が・・・。

デビッド・フィンチャー - 私が好きな映画監督の1人です。
ピット=フィンチャーのコンビにより作られた「セブン」と「ファイト・クラブ」。DVDによる英語学習にハマっていた頃、この2作品を数え切れないほど見た覚えがあります。「セブン」のラストシーンの場面は、後で口からセリフが勝手に出てくるほど見ました(英語としてあまり役に立ちませんが)。「ファイト・クラブ」に至っては、卒論のテーマの一つとして分析をしたほどです(今考えるとあまりに恥ずかしい)。

私はアル・パチーノが好きなのですが、パチーノの映画なら、別に興味が沸かなくとも、とりあえず見ます。
それと同じように、フィンチャー作品は、たとえ面白くなさそうでも、見なくちゃいけない、という義務感が急に沸いてきたのです。そう、あのジョディ・フォスターの「パニック・ルーム」を見たときも、同じ気持ちでした…。

仕方ないので、チケットを買って見ることにしました。

(以下、ちょっとネタバレあり)

感想は・・・当初の予想をはるかに上回りました。
とても美しい話です。

年を経るごとに若返り、段々美しく、カッコよくなっていくベンジャミンを見るだけでも、ブラッド・ピットファンには垂涎モノなのではないでしょうか。

デイジー(ケイト・ブランシェット)という女性がヒロイン。普通に年をとっていくデイジーが子供の時は、ベンジャミンが老人。デイジーが老人の時は、ベンジャミンが子供。でも、その逆行する時間の中間地点で、お互いの年がピッタリ合う時期があるんですが、その限りある時間のはかなさが、美しい。

アカデミー賞にもたくさんノミネートされてますね…実は大本命…そんなことも知らなかった…。
フィンチャー監督、今回は賞をとって欲しいですね。

Jonという友人がいます。

彼と知り合ったのは昨年の11月。ある3ヶ月のリーダーシップの研修で、私はコーチとして参加したのですが、彼は私がコーチングを担当した4人のチームメンバーのうちの1人。

彼は、私より3歳くらい年上で、映画やCMのプロデューサーをやっています。
New YorkやLos Angelesでは、日本では縁のなかったような映画・舞台関係者と知り合う機会が増えました。すでにメジャーな舞台で活躍している人もいれば、下積みでブレークの機会をうかがっている人もいます。

今まではなかなか芽が出なかったけど、数年間とりかかってきた映画が、今度やっと公開にこぎつけるんだ、とジョンが言っていたのが2月頃。
映画祭に出展が決まった!と喜んでいた時には、私はまだその映画の広がりを全く予想していませんでした。

映画の名は、"Beautiful Losers"

http://www.beautifullosers.com/

その後、New Yorkなど全米各地での公開が続々と決まったらしく、Jonの姉から「みんなで見に行こう!」という趣旨のメールを受け取りました。
おやおや、結構大きくなってるんだなと思って、ウェブサイトのリンクを開いてみると、

"JAPAN PREMIERE"

の文字が…。

日本公開?
こ、これは…そんなにすごい映画なのか。いきなり日本で公開するというのは、よほどのことじゃないのか。すごいぞJon。

信じられない気持ちでリンクを開いてみると、なんと、学生の頃から何度も足を運んだ、渋谷のシネマライズで、公開するというのです(正確には、シネマライズの隣の"ライズエックス"という場所でしたが)。

シネマライズは、覚えているだけでも「ビッグ・リボウスキ」、「ムトゥ・踊るマハラジャ」、「アメリ」、「ボーイズ・ドント・クライ」、「ロスト・イン・トランスレーション」、「ドッグヴィル」などの名作を見た覚えがあります。メジャーの一歩手前のような作品が公開される単館上映系のシブい映画館なのです。たまに「アメリ」のような化け物的ヒット作が排出されます。


そういうわけで先週、久々に日本に行ったので、見に行ってまいりました。

ちょっと小雨の降る渋谷。
スペイン坂を登りきってチケット購入。

BLosers


奥の真ん中にポスター発見。
おお、すごいぞJon。

券を買うと、そこで、映画館が「シネマライズ」ではなく「ライズエックス」であることを知ります。ええっ、そんなとこがあったんですか?

「場所わかりますか?スペイン坂をちょっと下ってください」

Bloser2


ああ、ここが入り口だったのか。何やら小さいぞ。
今まで、こちらの方には入ったことがなかった。
なんと、やけに小さい映画館だろうか…38席しかないという。

しかも、客があまり入っていない…大丈夫か…これでいいのかJon。
1、2、3、4…10人くらいだな。この回の売上は18,000円か。これを1日5回上映するとして、上映期間を30日と仮定すると合計売上は…いやいや、こんな計算をしている場合ではない。


気を取り直して、画面に見入ります。
映画は、ドキュメンタリー風です。

芸術分野において何の教育も受けていない、ストリートアートをする人達が、いかにして彼らのアートを極めていったか、というプロセスが、各アーティストへのインタビューを通して描かれています。

ストリートアートの1例は、New Yorkのビルなどで見る、スプレーで描かれた文字や絵です。

印象に残ったのが、彼らの退廃的なムード。自分達が作り上げた作品に対して「こんなものには何の価値もないんだ」「ガキの落書きと一緒だよ」「本当にくだらない」などと言い放ちます。

彼らのアートは、目的のないアートです。
お金や名声が欲しいわけではない。ムリに反抗しているわけでもない。
彼らは、描く。アーティストだから。それだけ。
それは〇〇のためとか、そういう動機がないのです。

ところが、そんなくだらないアートに、人は魅せられていきます。New Yorkのイーストビレッジでひっそりとはじまったギャラリーは、徐々に動きが拡大し、世界的に有名になるアーティストが続々と生まれます。中には、大企業のCMデザインを任される人も出てきます。

しかし、有名になった後でも、彼らはあくまでアーティスト。ひたすら、何の目的もなく彼らは描き続けるのです。それが、アーティストだから。

すべての「価値無きモノ」に対する敬意と愛情を感じました。
人の創るものに、価値なんか、なくとも良いのです。子供のように、夢中になって創ることの喜びに埋没する、そんな幸福感がヒシヒシと伝わってきました。


すごいぞJon。あの時、こんな映画を作っていたのか。
今度会ったら、「最高にくだらなく、つまらない映画だった」と言ってあげよう。
それが、たぶん彼にとっての、一番の褒め言葉に違いない。

2週間前、映画"The Dark Knight"を見に行きました。
Christopher Nolan監督とChristian Baleによるバットマンシリーズの第2作です。

公開日の2日目に行ったら、その日は全て埋まっていたので、その翌日にいかなければならないほどの盛況ぶりでした(その代わりその日は"Mamma Mia"を見ました)。

アメリカで育った人にとっては、これは必見なのでしょうか。普段、特定の映画の話が多くの友達の話題に乗ることはなかったのですが、その週末のFacebook(アメリカのメジャーなSNSサイトです)に限っては、「これからIMAXでDark Knightだ」「明日朝見に行きます。誰か一緒に行こう」「今ゴッサムシティに行ってきた」とかいう書き込みであふれていて、バットマンに対する熱が尋常ではないなと感じました。

この映画は、名優が何人もそろっているのですが、特に今は亡きHeath Ledger演じるJokerがスゴすぎます。
Jack Nicholsonが演じていた時には、"Jack NicholsonのJoker"というのがよくわかったのですが、今回のJokerは気持ち悪く、醜悪すぎて誰が演じているのかわかりません。もうこんなヤツに近寄りたくない、という嫌悪感を映画を通して刺激されました。

話のプロットも、アメリカのコミックの伝統である勧善懲悪ストーリーからは、はずれています。歴史のあるコミックで、こういう変化が現れるのは興味深いですね。そういう意味では、あまりスカッとはしないラストでしたが、完成度は高いなぁと思いました。伝説的な映画になりそうです。おすすめです。

一橋大学の小平国際キャンパスの学生寮で、18歳の新入生が飲酒による急性アルコール中毒の疑いで亡くなるという痛ましい事件が起きました。

このニュースを目にした時、私は胸に複雑な痛みを感じました。
まさか、こんなことが今になって現実的に起こるとは、考えてもいなかったのです。

この学生寮自体は、6,7年ほど前に建てられた新しいものですが、それ以前は「一橋寮」(いっきょうりょう)と呼ばれるオンボロの建物に、同大学の1、2年生が住み着いていました。
その一橋寮に私が入ったのは、1996年のこと。

コンクリートむき出しの、そのボロボロの寮に入ることを決めたのは、単に共同生活が楽しそうだったからです。
廊下も部屋も壁は落書きだらけ、一部屋に4人のスペースで、プライバシーなどまるでありません。私が入った部屋は、北403号室。
部屋には2人の2年生の先輩がいて、1年生の同期がいなかったため、私を含め3人の所帯でした。しかし、同じ廊下でつながっている北401 - 406は「北4A」と呼ばれる一つのブロックを形成し、我々はこのブロック単位で行動を共にしていました。

入寮して初日、北4Aの学生が全員集まって飲み会がはじまります。
私はそれまでお酒というものをほとんど飲んだことがなかったので、これはきつかった。「ああ、こんなことに耐えなくちゃいけないのかな」と思いつつ、苦いビールを喉に流しこんだ記憶があります。

新入生歓迎コンパの期間は、1ヶ月くらい続きます。他のブロックと次々と「対抗コンパ」を行うのです。そのコンパでの飲み方は、それはもうひどいものです。新入生は、自分の自己紹介をしながら、理不尽なツッコミを受け、ひたすら飲み続けます。部屋には「ゲロ箱」が用意され、吐いた時の「受け皿」も万全です。吐くために飲み、飲むために吐きます。近所の居酒屋で大体6時ごろからはじまり、深夜にまで及びます。

新歓コンパは、私にとって非常に不愉快なものでした。そもそも、なんでこんなわけのわからない理由で毎日飲まされなければならないのか。

当時は、あまりに激しい飲み方に、「こんな無茶やっていたら、いつか誰か死んでもおかしくない」と私は思っていました。しかし、こんなハチャメチャな伝統が何十年も続いているにも関わらず、一橋寮がなくなる2002年まで誰かが亡くなったという話は聞いたことがありません。
私は他のコンパに出席しているうちに、この荒唐無稽に思える「一橋寮飲み」には実は強力なセーフティネットが張られていることに気づきました。

まず、一橋寮飲み(特に新歓コンパ)では基本的にビールしか飲まないのです。もちろんビールでも急性アルコール中毒になる可能性はありますが、現実的には泥酔する前に腹が膨れ上がってしまうため、意識を失ってしまう前に、物理的に飲めなくなってしまうことの方が圧倒的に多いのです。また、当時の一橋寮は4人部屋のため、先輩が責任をもって後輩の尻を拭うという暗黙の了解ができあがっていました。誰かの気分が悪そうだったり、ぐったりしていると、同部屋の先輩が、かなり心配して手厚くケアをします。お互い、男同士で気持ち悪いほど心配します(最初はこの「愛」がかなり気に障ります)。先輩からは、喉に何も詰まらないよう、指を使った「正しい吐き方」を教わり、緊急時の対応も万全です。

新入生の頃、ある飲み会で私は完全にブチ切れ、空のビール瓶を蹴り飛ばしました。何でお前らのようなアホどもに飲まされなければならないのか。ふざけるな。他ブロックの何人かの先輩と一触即発の事態になりましたが、「お前、勇気あるな」と帰り道に肩を抱えながら言ってくれた先輩の言葉も忘れられません。大嫌いなコンパも参加しているうちに楽しくなり、同期とは戦友のような間柄となりました。夜中の1時にブロック全員で国立までカラオケに行ったりと、メチャクチャなことばかりやっていました(現在多くの掲示板でたたかれている通り、かなりアホです)。今考えると、やはりやることが一つ一つ危険だったことは否めませんが、そんな中、築かれたかけがえのない絆は卒業して随分経った今でも続いているほどです。

あの頃一緒にバカ騒ぎしていた仲間の中には、在学中に公認会計士に合格した者もいますし、私の同部屋の後輩などは弁護士になりました。他にもあの明らかにアホな連中が日本を代表する大手銀行・商社・マスコミや外資系などに渡る名だたる企業の社員になったりするのを見ると、これは憂うべき事態なのか、逆に希望の象徴なのかわかりません。今でも世界の中で、何の遠慮もなく「こいつは偉そうにしているけど、れっきとしたアホです」とお互いを指差しあって言い合える仲など、彼らくらいしか存在しません。

私の卒業後、一橋寮の老朽化に伴い、「小平国際寮」が建設されました。
4人部屋だったものが、1人ずつの個室に変わり、その学生寮は落書き一つない近代的な建物に変貌を遂げました。
それまでの一橋寮飲みの伝統は消えてなくなりました。



あの激しくも楽しい飲み会と、4人部屋・ブロックごとのコミュニティを軸にした連帯感がもうなくなるのかと思うと寂しい気持ちはしました。
しかし、あれはあれで危険だったし、これからは個人の意思と権利が尊重される時代だから、これも良いのかもしれない。もう、ブロックごとの飲み会もなくなるだろうし、寮の中での小規模な飲みもずっと少なくなるに違いない。
そこには、少し安堵の気持ちがありました。
やはり、飲みたくない人に無理に飲ませる、というのはもはや時代に逆行していると思うのです。「空気」を利用して他人に何かを暗黙のうちに期待する、という日本人のやり方は私も賛成しかねる場面がたくさんあります。

そう思ってから随分経ちますが、今になってこんなニュースを聞くことになろうとは、思ってもみませんでした。本当に残念でなりません。新しい寮で新歓コンパがあったことすら知りませんでしたが、もしあの「ビールだけ飲み、気持ち悪いほど助け合う」伝統がなくなったせいで、逆に危険度が増したのだとしたら、皮肉でしかありません。


そもそも飲酒について忘れてはならないのは、18歳で飲酒というのは、違法だということです。多くの学生は、違法行為を平然と行っているのであり、これを見逃すわけにはいきません。
私の寮生活で起こったことは、不法行為の元に築き上げられたもので、単にラッキーだったということを認識し、事故が起きなかったから良いということではないと心得ています。このようなことが2度と発生しないよう、私は私の身近にいる人達に対して責任をもって対処するしか、償いの道はありません。
ただ、楽しかったあの思い出とかけがえのない仲間たちとの絆が、ともすると取り返しのつかない危険と隣り合わせだったことに今さらながら気づき、複雑な胸の痛みを感じています。


若い後輩の将来が絶たれたことを、本当に痛ましく思います。
ご冥福をお祈りします。

2ヶ月ほど前に新しいノートブックのパソコンをDellで購入しました。
CPUが2つも搭載されているし、メモリも1GBあるので、これまでとは比較にならないほどのパフォーマンスを期待していました。

しかしながら、待ちに待ったパソコンを起動をしてみたところ、どうも遅いことに気づきます。メチャクチャ速いことを期待していただけに、とてもガッカリです。

どうも、調べてみると、Windows Vistaに遅さの原因があるようでした。デュアルCPUを前提に設計されていて、インデックス化などのバックグラウンドでの処理にメモリを食うため、それだけ時間がかかるらしいのです。

とにかく、一つ一つの動作にいちいち時間がかかり、ハードディスクアクセス時の「ガリガリ音」は、Windows95を使っていた時代を彷彿とさせます。せっかく作業の効率化のために新しいPCを導入したのに、これだけ遅いのでは全く話になりません。

しかも、このPC、時計の進み具合が怪しいのです。要するに、PCの電源を落とすと、その時点で時計が止まり、再起動させると、そこから時計がスタートします。
夜の11時に電源を落とし、翌朝8時に起動させると、まだ時計は11PMのまま、というとんでもない時計なのです。これまで所有してきたPCで、ここまで異常な動きをする時計を持ったPCなど見たこともありません。

全く使いものにならないPCを買ってしまったことに後悔をしましたが、いつまでも悔しがっていてもしょうがないので、修理に出すことにしました。

Dellに電話すると、時計の異常を修復するために、マザーボードを交換したいとのこと。箱にPCを詰めて送るように指示されます。2日後に送られてきた段ボール箱にPCを入れ、Dellのサービスセンターに送ります。

この時点では、私は不満で一杯です。
とにかく、Vistaの存在価値がわからない。なんとなく綺麗なグラフィックになっているけれども、処理が遅くなっているのは、全く意味がありません。

しかし、古いPCでいろいろとリサーチをしていると、そもそもVistaに対しては、メモリが1Gではつらい、ということが判明しました。さらに新しいパソコンをもう一台買おうかとも迷いましたが、メモリもそんなに高くないので、メモリ増設という手段でとりあえずは状況を打開しようと思い立ちました。

早速2Gのメモリを買い、PCの到着を待ちます。

Dellに箱を送ってから約10日後、PCがついに帰ってきました。

そこでまずびっくりしたのですが、PCの底をドライバーでこじ開けてみると、なんとそもそも1GBのはずのメモリが、いつの間にか2GBにアップグレードされています!
これは、Dellのサービスなのでしょうか。期待していなかっただけに、とてもうれしいオマケでした。

その2GBに、さらに買っておいた2GBのメモリを増設します。
これで、メモリは4GB、一気に4倍です。
起動してみると、これが速い速い…どうやら、Vistaは、メモリさえあれば、XPよりも圧倒的に速くなるようです。

ハードディスクの読み取り時に発生する「ガリガリ音」がほとんど出ません。

しかも、Vistaには、"Readyboost"という機能が搭載されています。これは、ものすごい機能です。市販のUSBフラッシュメモリをつけると、増設分のRAMとして利用することができるのです!
この機能は実にすばらしい。早速4GBのUSBメモリをつけると、合計8GB(実質的にはそれ以下だと思いますが)のメモリを持った超高速PCに変身しました。

Vistaを買う方、メモリは2GB以上搭載し、Readyboostはぜひ利用しましょう。
やはりPCの速さは仕事の効率にそのまま直結します。

久しぶりにブログ書きます。
前回何かを書いた時から数ヶ月、今はNew York MidtownからLos Angelesに本拠を移してビジネスのさらなる拡大に勤しんでいます。
前回書いたのは、8月だったんですね…本当にこの数ヶ月間でいろんなことが起きました…。

まぁ、ブログタイトルは、そのままで"Midtown Report"とします。まだ、向こうにオフィス住所はありますし。

ほぼ週7日、大体朝から晩までオフィスにいますが、夜になってくると段々作業効率が落ちてきて集中力がなくなるので、セミナー、ウェブでのリサーチ、読書に時間を使うことが多いです。

YouTubeも見たりしますが、ハマってくると、もうやめられません。今日、見ていたのが、昔日本で流行った「マネーの虎」のイギリスバージョン。その名も、"Dragon's Den"(竜の巣?)

イギリスでは"Dragon"が「虎」の代わりなんですね。
基本的なフォーマットは日本と一緒で、起業家が自分のアイデアを実現させるために、"Dragon"の前でプレゼンテーションを行い、出資を募るというものです。

日本のオリジナル版では、どちらかというとちょっと勘違いしてしまった人が寒いアイデアを持ってきて虎に怒号を浴びる、というのが多かったと思うのですが、さすがに欧米は起業家のレベルが高い。

要求も、"200,000ポンドで10%のオーナーシップ"と起業家自身からのリクエストもかなり具体的で強気です。これに対し、Dragonは、「全額やるが、オーナーシップは40%ないと出さない」などと、カウンターオファーを出したりします。

一番すごかった起業家が、これ↓

http://www.youtube.com/watch?v=xu0QifxOGvs&feature=related

なんと、出資を募りに来た青年発明家が、2人のDragonからのオファーを蹴って帰るのです。オーナーシップをそんなには渡せない、と。Dragonも、「自分の時間とノウハウを提供できる」と自分の強みをアピールしたりと、立場が逆転しています。

あと、面白かったのが、これ↓

http://www.youtube.com/watch?v=uDiNqp4VRwk&feature=related

アメリカ英語の発音なので、これはたぶん北米バージョンだと思います。オーナーシップを51%にするか、50%にするかでしのぎを削っています。51%をオファーしたDragonも、強気で不遜に見えるものの、出資したくてしょうがない様子で、ついには妥協します。


この番組は真剣勝負で面白いし、会話のやりとりは本当に勉強になります。

今週末発行のNY/NJの現地新聞において、私の会社を大々的に宣伝します。
Daily Sunという新聞の裏表紙です。

今回の宣伝は、今期のマーケティングの初陣を飾るもので、8月に行う予定のセミナーについての案内です。

この広告は、カリフォルニア州で反響が良かったので、今回のキャンペーンはものすごく楽しみにしています。昨年行った記事広告も良かったのですが、「記事広告が必ずしも行動を促すとは限らない」ということを学んだため、今回はセミナーの案内であるという意図を前面に出しました。

日曜が非常に楽しみです。

午後6時過ぎ、一旦アパートからオフィスに向かおうと思っていたところ、友人のS氏から電話が…。

「何か近くで大きな爆発があったみたいなんですけど、テレビかインターネット見てもらえませんか?」

「今、グラセン(グランド・セントラル・ステーション)付近で、建物が壊れたらしいんですけど、ものすごい煙が出てるんですよ」

何やら、ものすごくパニック状態に陥っているようなので、段々不安になってきました。テレビをつけてみると、白い煙がビルの間から立ち上っているのが見えます。
彼がさらにどんどん煽ります。

「もう人が騒いでいて、大変な状態ですよ。地下鉄も使えませんよ」

携帯電話越しからも、外からもサイレンの音がうなりはじめました。
テレビでは、数分するとすぐに専門家が出てきて、「この種類の白煙が出ているということはスチーム・パイプが爆発したものと思われる。テロの可能性は低い」ということをすぐに説明していました。

画面が切り替わると、見慣れたベーグル屋が出てきました。
そのベーグル屋に近い場所に、ぽっかりと大きな穴が地面に開いていて、怒涛の勢いで白煙を立ち上げています。

41st St & Lexinton Ave…あそこは、昨年9月まで住んでいたあのアパートから3ブロック離れたところでした…。
あの時は諸事情により「追い出された」のですが、今となってみれば自分はラッキーだったのかもしれません。

外に出て、オフィスまで歩いてみたのですが、タイムズスクエアでは、みんな普通にニコニコ歩いていました。

42nd St & 5th Aveあたりまで来ると、物々しい雰囲気はあったものの、煙も大分おさまったようでした。
彼が、「建物が破壊された」と他の人から聞いたらしいのですが、明らかにパニック状態から来たものなのでしょう。

亡くなった方のご冥福をお祈り申し上げます。

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